一度でもメディアの取材を受けたことのある人は、「時間をかけて説明したのに、記者の組み立てたストーリーに都合のよいコメントだけ記事になった」という不満を持たれているのではないでしょうか。著者に言わせれば、記者がストーリーを組み立ててから取材をするのは当たり前です。取材される側の言いたいことを伝えるためには、それなりの技術が求められるのです。

本書で紹介される「ブリッジング」という手法は、とくに有用です。答えるのが難しい質問、Yes/Noを問う質問に対して、正面から答えるのではなく、ひとまず返事をした上で、自分の伝えたいメッセージにつなげる技術です。例えば、こんな感じです。

Q：「もし目標が達成できない場合は、責任を取って辞任されるお考えはありますか？」
A：「それは仮定の質問ですね。私がいま言えることは、・・・。」

この他にも、相手は記者ではなく、読者や視聴者であると考えること、ネガティブな言い回しをしない、他人の批判をしないなど、具体的なノウハウが紹介されています。メディア対応する人だけでなく、社会で発言することを求められるすべての人に有益な情報が得られると思います。

危機管理広報のアドバイスが特に参考になりました。何か不祥事を起こしたら、当社にもマスコミが押しかけくるでしょう。記者達は傍若無人に振る舞い、悪意に満ちた質問を攻撃的に投げかけてくると思われます。どう対応すべきか。トップに予めトレーニングを受けさせておく必要性をこの本を読みながら改めて痛感しました。この本が教えてくれているように、いまのうちに適切なメディア対応を訓練しておけば、余計なことを言ってしまったり、まずい振る舞いをしたりして、ダメージを2倍、3倍にも膨らませなくてすむだろうと感じた次第です。

通常時のメディア対応では、「話をしないため」の訓練というのが面白いと思いました。何を、どのように話すか、一生懸命訓練していて、実戦で見事にこなしたとすると、うれしくなって、ついつい余計なことをしゃべってしまって、それだけがメディアに掲載されたりというようなことがあるだろうと思われるからです。特にうちのトップは何事にもサービス精神が旺盛なので、気をつけさせるようにしないといけないなあと思っています。

企業の広報を担当するものですが、あまりにも現場で日々直面している事と、この本で書かれている具体的事例が、オーバーラップしていて、一気に読めてしまいました。著者が現場で現役で活躍されているからでしょう。PR自体の本は、結構出回り始めましたが、自分の仕事の領域をぴったりと言い当ててくれる本は、あまりなかったと思います。
大事だとは思っていても、メディトレーニングを会社の相当数のトップらに受けさせるのは相当バジェットを見ておく必要がありますが、この本を担当者として読んでおくことで、トップのプレスとのインタビューの際などで、ある程度の部分は広報担当者としてアドバイスをすることができるのではないかと思いました。でも、何よりメディアトレーニングは、いわゆる”トレーニング”ですから、まさに著者の言うように、運動するように繰り返し反復練習することが上手なメディア対応の秘訣なんだと納得させられました。

一気に読破しました。
私は普段は取材する側として活動をしています。
取材対象がどのように考えているのか、
また、こちらに何を期待しているのか、
すごくよくわかりました。

また、日々のニュースを見る目が変わったことも
レビューに加えたいと思います。
2007年参議院選挙の選挙速報は楽しく見ることが出来ました。
選挙速報の前に読んで、本当に良かったです。

　メディアトレーニングはマスコミへの対応力を高めるトレーニングです。記者会見や個別インタビューを効果的に、失敗なくおこなうための話し方とテクニックの習得、訓練に重点をおいています。日本では近年、危機管理プログラムの一部として、メディアトレーニングを実施する企業がふえました。不祥事や事件の報道対象になった時、メディア対応を誤ると企業存続を左右するほどの大きなダメージを受けることが広く認識されてきたからです。雪印乳業のケースを例にあげるまでもありません。
　この本は、メディアトレーニングのすぺてを紹介する日本語の最初の本です。米国のアマゾンでMedia Trainingを検索すると3,500あまり検索結果が出てきて、そのうちの200以上は、メディアトレーニングの参考書やDVDです。日本語では、これが唯一の本!!
　この十数年間に400名以上の経営トップや広報担当者にメディアトレーニングを実施した著者の経験と蘊蓄がいっぱい詰め込まれたこの本は、新聞・雑誌記者やテレビリポーターの取材対応をされる方には、本当に役に立つ、宝物のような本だと思います。
　それだけではなく、詳しく紹介されている「メディアトレーニング話法」は、著者が言うとおり、さまざまなビジネス局面で効果を発揮する話し方だと思います。
　ビジネスエリートの必読書です!