呼吸管理に関する本の多くが入門から応用（実戦）まで網羅的に記載されており，たとえナース用であっても研修医には敷居が高く感じられることが多い中で，この本は入門書としての役割に徹している。「まんが」といっても全編が漫画形式ではなく，患者教育・ムンテラに使われるイラストを多用したパンフレットのような構成である。また全部で84ページであり，その気にならなくとも数時間～半日で読み終えることができる。2章「人工呼吸のしくみ」では複雑と敬遠されがちな人工呼吸器の回路やパネルの内容について簡素化されており秀逸である。人工呼吸器の構造は案外単純なのだと思った。その他モニター項目，呼吸モードに関しても初歩的な解説が加えられている。本書だけで明日から呼吸管理ができるとは思わないが，自分の病院の人工呼吸器を見てみたい，ワンランク上の解説書を読んでみたい，という気にさせてくれる良書だと思う。