今話題のスマートグリッドを知るには良書、でも後半に★マイナス
★★★★☆
オバマ政権の打ち出すグリーンニューディール政策は、マスコミなどでも話題ですが、それを構成する政策、戦略については日本ではなかなかうまく伝えられていません。特に政策の柱のひとつである、スマートグリッド、そしてプラグインハイブリッドとのコンビネーションには、アメリカの持つ単に環境だけでは無い大胆な戦略がありますが、本書では分かりやすく伝えています。
(例えば石油から石炭へのシフトの戦略とかは結構面白い)
仕事柄、このグリーンニューディールともろに絡む仕事をしていますが、それでも参考になりました。
スマートグリッドの概念はなかなかわかりにくく、一時日本でブームになったマイクログリッドとどう違うのか、また、アメリカ版プラグインハイブリッドは、トヨタのプリウスの改良型の方式とは恐らく全く違う形で登場するであろうこと・・・GMやフォードの技術でも恐らく短期間で作れるものになるかも知れません。このあたりも本書で読み取れると思います。
また、ようやく5年前にプランBという本を出したレスター・ブラウン氏の言っていた(1)アメリカの電気は風力発電だけでも賄えてしまう(←実際にオバマ政権は2030年に電気の20%を風力にすると宣言)(2)不安定な風力の電気を、大量に配備されたプラグインハイブリッドという蓄電池に吸収してしまえ!が、ようやく現実化してきました。(そのことが個人的には一番嬉しい)
一方、日本は電力系の信頼度が高く技術も進んでいるが、逆にそのことで改革が進まず、アメリカに技術的にもキャッチアップされる可能性にも触れています。
いずれにせよ本書はとても参考になると思います。
でも★5つはつけません。本当は★1個まで落としても良いとまで思いました。
というのは本書の後半が、日本の特定企業の提灯記事になってしまっている点です。確かに、それらの企業に技術的なアドバンテージ、魅力は私も一応業界に居ますので感じますが、この本で敢えて多くのページを割き(特にスマートグリッド関連の日本企業)ヨイショ的な内容を書くのは非常に興醒めです。
特にスマートグリッド企業の紹介の部分は、違う著者が書いているのかと感じるくらい違和感を感じました。
別に本当に良い技術、商品であるのなら、こういう書き方をしなくても、世の中で認められていくはずです