本書は組織社会学や経営学、組織文化論の研究者にとって必読書である。
アメリカ社会学会の文化部門書籍賞を受賞し、今や世界的に認められている
組織におけるエスノグラフィーの代表作のひとつ。
これまでも組織において参与観察研究は多く存在するが、本書の独創的な点として、
①(これまで主流であった機能主義に対して)解釈主義に基づいた組織文化の分析
(経営側だけでなく組織成員における文化実践の分析)、
②(これまでの組織論ならびに組織文化論で見落とされていた)組織における
感情実践の分析、が挙げられる。
伝統的に機能主義に偏向し、また感情を分析対象から排除してきた経営学徒は
自己反省のためにも読むべき研究。
なお筆者のギデオン・クンダは組織社会学者ヴァン=マーネンMIT教授の弟子で、
現在Tel Aviv大学の労働論助教授。
翻訳は、忠実に訳せているほうだとは思うが、一部誤訳が見られるので注意が必要。
邦訳タイトルとは原題と大きく異なる。タイトルから想像されうる一般向けの
ビジネス書ではないので一般の読者の方は注意が必要。
かなり専門的な組織社会学的研究書である。