と・も・子
★★★★★
吉幾三の代表曲と言えばコミカル路線なら「オラ東京さ行くだ」、
演歌なら「雪国」「酒よ」だと思う。
私も幼い頃、それらがTV等から流れてきたのを覚えている。
だがこのアルバムの中にはそれらの曲が霞んでしまうほどの曲がある。
それは「と・も・子・・・」だ。
『とも子と二人で暮らしてた頃・・』と吉のリアル東北弁での
セリフがギターのアルペシオに乗りながら始まる。
とも子との日々、裏切り、そして再会が吉によって語られていき、
憂いを帯びた声でとも子が死んだことが伝えられる。
そして『この唄をあなたに聞かせたかった〜』と
壮大なLOVESONGへとなだれ込む。
吉の優しく大らかな声と前半のセリフ時のリアル東北弁とが
ギャップを生み何故か胸が一杯になる。
最後は『とも子ぉ、とも子ぉ、遅かったLOVESONG』と盛大に幕。
私は、自分を裏切った女に対して何故そこまで・・・と半泣き状態でふと思った
。
恐らく最初は、後半の曲部分だけだったのではないだろうか・・・・。
「すごく綺麗なLOVESONGでいい曲ですよ、吉サン」と
スタッフは吉に言ったと思う。
しかし次の日、吉はおもむろにセリフが書かれた紙スタッフを配る。
「昨日のあのLOVESONGの前にこのセリフを入れます。」
と吉は言い、ギターを弾きながらセリフを語り始める。
スタッフも最初は、滑稽なセリフを語る吉に苦笑いを
浮かべていたに違いない。
だが曲の終わる頃には、私と同じように
その吉ワールドとしか言い様の無い笑い泣きの一大叙事詩に
ただ胸を熱くするだけであったであろう。
前半のセリフが無かったら恐らく凡庸なLOVESONGで終っただろうし、
「とも子」と言う曲名も付かなかっただろう。
あのリアル東北弁のコミカルなセリフがあってこそ
後半の自然で美しいメロディーが際立ったと言える。
唯一無二の至芸
★★★★☆
演歌だけでなく、コミックソングのパフォーマンスも捨ててないところが奥深いところだ。
反則技に近い「演歌⇔田舎者⇔笑い者」という思わず吹き出さずにはいられない構図を、
温もりあるパーソナリティーで味付けして露骨に演じてみせた才人の作品集。
中年の哀切と変態性をさらけ出し、これでも笑わぬかとばかりに畳み掛ける。
とってもサービス精神旺盛だ。
ここは名調子<デスコソング>の「俺ら東京さいぐだ」、ケッサク「お・じ・さ・ん」を推したい。
ドリームは最高傑作。
★★★☆☆
タイトルは「おもちゃ箱」でよかったのでは。まあいいや。③ドリームはここ数年聞いた楽曲の中でもトップ10に入いります。それほど良い曲です。詩よし曲よし歌唱力よしです。やはり、日本人の私としては、早口でまくし立てる米国産ラップ音楽なんぞはわかりかねます。このようなよい曲がわが国でもあるのだから、もっとおっさんの音楽にも耳を傾けて欲しいよね。
まあこの楽曲のおかげで吉さんは白と赤の歌合戦を落ちちゃいました。国営放送としては、建築会社のCMソングを唄わせるわけには行かなかったのでしょうか?
今後もこのような良い曲をリリースしてくださいよ、ねっ、吉さん。国営放送を見返してください。
おばけが出たぞぅ
★★★★★
素晴らしい(--!)
このアルバムが出るのをずっとお待ちしておりました。ヨッシ-様。
俺もいくぞーーー! 東京に!
ネっ?!
全世界待望(?! )の最強コレクション、ついに登場!!!
★★★★★
かつて、これほどまでに待ち望まれたアルバムがあっただろうか。何だかんだ言ってもやはり、コミック系楽曲においてその才能を最も発揮してきたように思われる、“もともと特別なオンリーワン”=193(イクゾー)の、そういった系統の歌―「プレスリー」から「TOFU(豆腐)」まで。加えて、3や6の人気CMソング(6の、画面でのクレジットは“Song by 吉”!)、そして『鬼太郎』の2曲など―だけで構成された1枚。とはいっても、いきなり1曲目がコミック系にして永遠の愛の名曲(こんなの、おそらく他の誰にも作れない…!)「と・も・子…」で、今度もやっぱり爆笑しつつ泣かされてしまったりしたわけで、193おそるべし! の思いを新たにしたのであった。後半の、たたみかけるような“おじさん系”楽曲(?)による連続攻撃も圧巻。10の「おじさんは、おじさんは……42! 厄年じゃん!! 」ってのもスゴい破壊力だが、「お父さんのタンゴ」―後年出た「だんご3兄弟」のメロが、コレに似てると一部で話題になった―の描写(ススキノのお店の住所とか?! )が妙に具体的で、これはノンフィクションだったりするのか……?! みたいなとこまで楽しんでしまえる。これはぜひ、一家に一枚。ドリフのCDなんかと一緒に買うのもオツなものかも。川中美幸とのデュエット「出張物語」なんか、まさにドリフの夫婦コントをそのまんま歌にしたような傑作だったりするし。