飛び抜けたピアノの才能を持ち“神童”と言われるうただったが、母親の期待と裏腹にレッスンはさぼりがち。でもひょんなことから知り合った青果店の息子ワオの部屋のピアノは喜んで弾くのだった。うまくはないが心地よいワオの奏でる音が気に入ったうたはワオと会うことが楽しみになり、ワオも出せなかった音が、うたのアドバイスで出せるようになった。音楽でつながったうたとワオ。でも天才少女うたの耳にある変化が訪れ…。
さそうあきらの原作漫画を『帰郷』の荻生田宏治が演出。恋のような友情のような兄妹のような、はっきりしないけど心地よい関係の男女を成海璃子と松山ケンイチがさわやかに好演している。天才少女と言われ、悲しい過去に縛られ、ピアノに対して素直になれないうた、誰よりもピアノを愛しているのに、思うようにならないワオの苦しみは描きようによっては重いものになりそうだが、ふたりの関係を恋愛の一歩手前でとめて、純粋に音楽でつながった清らかな関係として見せたことで、気持ちのいい美しい映画に仕上がった。(斎藤 香)
クラチカ舎
★★★★☆
【あらすじ】“神童”と呼ばれ続け、周囲の期待に押しつぶされかけていた勝ち気な天才ピアニストの少女が、音大を目指す落ちこぼれ青年との出会いを通して再び音楽の喜びを見出していく姿を描く。監督は「帰郷」の萩生田宏治。神童と呼ばれて育った中学生の成瀬うただったが、ピアノだけの生活に疑問を感じ始める。そんな時、音大を目指して浪人中の青年ワオと出会う。ワオの素直な音が気に入り、勝手にワオの部屋に入り浸るようになるうただったが…。▼詳細はタイトルをクリックして目次をご確認下さい▼※松山ケンイチ特集しております※
おおとり文庫へようこそ
★★★☆☆
ちりとてちん主演、貫地谷しほりさん出演映画。ピアノを弾く生活に疑問を感じる13歳の天才ピアニストの少女と、音大を目指す青年の姿を描いた、クラシック音楽をテーマにした作品。主演は文字通り「神童」成海璃子さん。貫地谷さんは、松山ケンイチさん演じる青年に想いをよせる音大生役で出演しています。
松ケン工房
★★★★☆
■若手監督グランプリを受賞した、俊英・萩生田宏治を監督に迎え、ブームを巻き起こしている「クラシック音楽」に真っ向から挑んだ日本初の本格クラシック作品として話題の映画。
ピアノを弾いたこともなかったという監督は、「音楽を通して人と人が何かを分かり合える、音楽そのものが台詞のようなことがやりたいなと思った」と語った
■”音”を媒介にして、愛情とも友情とも違う、暖かくそしてちょっぴり不思議な感情を通わせていく二人の姿を描いた感動作。
■「空白の多い作品。でもその空白は、この映画にとってすごく重要な部分。
確実に今までの邦画にはない世界です。
音楽を前面に出しすぎていないのもリアルだし、大げさじゃないのがいい。
だから僕はすごく好きな作品ですし、これこそ本当の音楽映画だなって思います」
■ラストシーン、うたが大ホールで大役を成し遂げたところをやさしく見守り涙する姿がスキです^^