ベテランの貫禄
★★★★☆
前作から8年ぶりという本作はまず一言で言うと「安心して聴けるアルバム」ですね。
取り立てて目新しいことにチャレンジしているわけではなく、あくまでいままでどおり
マイペースでじっくりと作ったそんな感じのアルバムです。
80年代にデビューし、ジャム&ルイスのプロデュースでヒットしたデビューからの3作の出来が
素晴らしかったのですが、その後のジャム&ルイスと別れてからも基本はジャム&ルイスの
延長線上にある路線でそう言う意味では今作もそれから大きくは外れていません。
今流行のスタイルが全くなく、90年代のR&Bそのもので昔のアレックスを思わせる曲が多い。
冒頭の2曲は特にそうで、彼がかつてジャム&ルイスと一緒にやっていた頃のFakeや
それ以前所属していたThe Timeなどのプリンス系のファンクを思わせるノリ。
そしてなにより歌の上手さは健在です。この人の歌の上手さ(存在感)があっての作品なんだなと。
そういう説得力のある声をしているなとあらためて思いました。
そう言う意味では久々に彼の声が聴けて、しかもこういう停滞気味の時代に聴くとちょっとほっとする
90年代のR&Bを聴いていた人には懐かしいアルバムです。
それにしてもジャケットの雰囲気がAll True Manの頃を彷彿とさせますね。