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近代世界システム〈1〉―農業資本主義と「ヨーロッパ世界経済」の成立 (岩波モダンクラシックス)

価格: ¥2,940
カテゴリ: 単行本
ブランド: 岩波書店
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近代世界システムとは何か? ★★★★☆
 著者のいう「近代世界システム」とは以下のような意味らしい。まず、人類社会を他から孤立した「自給自足システム」と、それを超える「世界システム」とに分類し、次に後者を「世界帝国」と「世界経済」に分類する。さらに、後者の中でも特に16世紀の西欧で成立した資本主義に基づく世界経済を指して「近代世界システム」と名づける。このシステムは経済的中心にあたる「中核」、収奪される「周辺」、両義的な「半周辺」の3つの地域から成り、西欧を中核としてシステムが地理的に拡張していく過程で、他の地域社会を周辺・半周辺地域へと変換しつつ包摂してきたとされる。その特徴としては、歴史上しばしば出現した「世界帝国」のように、ある経済的分業体制が政治的にも統合されているのではなく、経済的には一体のシステムであっても、政治的には統合されていないこと、大規模な地域的分業を伴ないつつ、資本の蓄積を目的とする世界市場向け生産が行われること、システム内の余剰が周辺地域から中核地域へと移送され、両者の間の経済的格差が、地域的分業が深まるにつれて拡大していくこと、等の点にあるとされる。

 本書は本文にも匹敵するページにわたる膨大な注や引用史料によって、実証的に「近代世界システム」という大きな枠組みを過去の歴史の中から浮かび上がらせようとした大著で、経済史や社会史の知識がそれほどない私にとっては、かなり難解に感じられる箇所もあったが、世界システム論の理論的枠組みの解説に重点をおいた『史的システムとしての資本主義』と併読することによってかなり理解が助けられた。ウォーラーステインを初めて読む方にはこの2冊を併読することをおすすめします。