朝鮮半島をのぞむ
★★★☆☆
初出は1978年の『週間朝日』。
朝鮮半島と九州の間に浮かぶ、壱岐と対馬を訪れた旅行記。その位置から両島は日本と朝鮮をつなぐ役割を果たしてきた。時には友好使節の中継地であり、時には侵略の入口となる。ことに、今回の旅には朝鮮半島出身の金達寿氏、李進煕氏という二人の友人が同行している。そのため、話のほとんどが朝鮮半島との関係に費やされている。
そのためか、話がとても大きい。日本と朝鮮という国家レベルの歴史が語られるばかりで、目の前の、いま対馬・壱岐に住む人たちの姿が浮かび上がってこない。そこが少し不満であった。