日常エッセイ。しかし、一味違う、というのはこの作者の作風を知る人ならば頷いてもらえるはずだ。
TONOさんのファンならば買っても損はないだろう。思わず吹き出してしまうような大嘘や、え！？と衝撃を感じる行動、不思議に思えるような巡り合わせが「こんなことをしたんですよ」といった淡々とした切り口で描かれている。

正直、TONOさんのネタは記憶に残る。
読んだ瞬間も面白いが、ふとした時にじわじわと込み上げてくるものも多い。
（この本には該当はないが、特に恐怖体験は怖がりの人には真剣におすすめできない。何年経っても、ふとした拍子で思い出すとものすごく怖くなる）この中に描かれた話もやはりそうだろう。

BL誌に掲載ということもあってゲイに関する話が、他誌掲載のものよりも比較的多めだ。
他誌掲載エッセイでもごく普通に語る時は語られているが、今回は特に掲載誌を考えてのことらしい。
だが、TONOさんの漫画を知っている人ならば、そういったネタもあまり気にせずに読めるだろう。

そしてこの本は大変に面白いが、しかしTONOさんをこれまで知らなかった人は他の本からはじめてもらった方がいいかも知れない。
出来ればストーリー漫画、カルバニア物語(掲載誌がBL取り扱いがある為か説明にボーイズラブと出るが、本当は一般向けの内容である）やダスクストーリー辺りから読めば、この本を読んだ時に「この漫画を描いた人がこの内容の日常話を！？」と更に面白くもなるし、TONOさんのエッセイに入りやすくもあるだろう。

このまま連載が続いていけば、いつか二巻が出るらしい。
その日が今から心待ちである。

言いようがおまへんわ……とだけではレビューにならないので多少。
ＴＯＮＯさんのエッセイマンガを買ったことのない人にはお勧めしません。
なので星４つなのですが。
買ったことがあって、ＴＯＮＯさんの観察眼と語り口がたまらん！という
方には当たりではないかと。

何度か本を置いて爆笑しました。ネタがなくてウソばっかりという
ことすらネタになるのはすごい（もちろんマンガができるまでの回です）。
それになんでそんなに物が拾えるのか不思議でしょうがないです。

１つだけ注意しておくとＢＬ系雑誌への連載だったようなので、それに
関係したネタもあります。私はいつもとちょっと違うＴＯＮＯさんを
見たような感じでおもしろかったですが、一応それも考えて
お求めになったほうがいいかもです。