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これも男の生きる道 (ちくま文庫)

価格: ¥693
カテゴリ: 文庫
ブランド: 筑摩書房
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一人前とは自分の「不可能性」を把握した人 ★★★★☆
「家事のできる男=自立した男」。毎度のことながら理屈とも屁理屈とも
判別つけがたいことを説く橋本治が、そんな短絡的思考に満足するはず
のない。この本のテーマはそんな「男の自立」について。

この本は97年に出版された『橋本治の男になるのだ』という本の文庫版
にあたる。前の本を手がけた人には悪いのだけれど、タイトルは断然こっ
ちのほうが断然的を射ている。本書『これも男の生きる道』が説く「男の自
立」とは、この「も」に表現されるとおり、「既存の男性像」からは傍流、む
しろ対立しているともいえるものだ。

「家事のできる男=自立した男」がなぜ成り立たないのかというと、それは
「女の言いがかり」に端を発する、見せかけの自立だからだ。たしかに「妻
から言われて自立する」という言葉の語義矛盾は、誰でもわかる。そしてもっ
といえば、家にも会社にも、日本の一人前の自立した人はいない。

著者は、家事が“できる”など、その人の今現在保持している可能性を説く
のではない。なるほど「できること」だけやっていれば、優等生を気取れるし、
現に「できることを検査する場所」と彼が評する「学校」とは、つまり子供の
集う場所なのだ。

著者が自立やそれよりもっと重要なものと位置づける「一人前」とは、そうで
はない。自分の「できる」のリストではなく、自分は何が「わからない、できな
い、知らない」かを冷静かつ適切にリストアップでき、かつ、そのリストを周り
の人間から「学ぶ」ことをとおして地道に「できる」ことの側に移していくその
指向性にこそ、著者は「一人前」の称号を与えるのだ。

いつもどおりの俯瞰した視点を許さない著者独特の文体は、橋本本とは初
遭遇の人は難儀するかもしれないが、その難儀を耐えうるほどの結末は、
用意されている。子供にとっても、そして大人にとっても大事な、「一人前」
になるためのメソッドが、きっとこの本には隠されている。
体験し、自分で考える ★★★★★
この本は、私が読んだ氏の著作の二冊目です。途中経過が、経験と思考がスパイラル状にないまざって表現されて(いるように思える)いるので、難解な印象も与えるかもしれない。
ただ結論を読めば、その過程が何故必要なのかが理解できる。
最近に流行った新渡戸稲造の「武士道」の解釈・引用本とも異なり、経験・思考の繰り返しの中から出された結論が示されている。面白いのがやはり、日本人ってあまり男の生き方をしている男がどうも少ないらしいってこと。それは、一人前を目指して生活をしている人がいないことを意味する。
確かに自立を当たり前として、自分を高めようとして精進している生き方をしている人は、少ないのかも知れない。自分の生活を見直し考える上で、大変参考になる本であった。
男を磨くということ ★★★★★
運の良い人はともかく、社会に出ると仕事について、
ましてや自分をどう磨いていけば良いかという事について
教えてもらえた人はあまりいないのではないでしょうか。
本書は自分が(出来ない)ことを認め、自分自身でどうするか
を考えることにより辛抱強く取り組んでいれば
(いつかは出来るようになる)って事を強く説いてくれます。
情報が過多の時代なので、実は知らない事でも
知っていると思い違いをしてしまいそうな今日この頃ですが、
原点に返り、学びとる前に必要な謙虚さを筆者は教えてくれたような
気がしました。仕事や学業で悩み多く、頑張れというだけの
他人のアドバイスは聞き飽きたという人には、福音となる本なのではないでしょうか。
元気のない君へ ★★★★★
本の題名がちょっとミス・リーディングで、誤った予断を潜在読者に与えそうだが、きわめて真っ当な内容だし著者特有の、優しさを正面から押し出さない優しさを感じさせる。「わからないという方法」の帯に「著者初のビジネス書!?」というコピーがあったが、発表年次からすればこの本の方が「ビジネス書」としては先であり、わたし的にはこの本と「わからないという方法」と「上司は思いつきでものを言う」とが元気のないビジネスマン応援歌三部作を成していると思う。

わからない、できない、知らないを素直に認めることからスタートし、わかる、できる、知っているに至る努力を積み重ねることにより遂には一人前になることの大事さを著者自身の経験や実例を挙げて昏々と説いている。しかもいちばん最後には急ぐ必要はない、との慈愛に満ちた言葉まで記されており、照れ屋の著者がこういう三部作を書かねばならないほど現代の我々ビジネスマンは元気を喪失していると映っているのかな、と反省させられる。

もっと頑張んなきゃね、僕ら。そして頑張る気力も失った元気のない君へ、ご一読を勧めます。

五月病によく効く一冊! ★★★★★
今年の五月。ぼくは五月病でした。
リストラ、というわけではないのですが、好きな仕事、気に入っていた職場を異動させられたのでした。
それ以来、「ストレスを感じる」「毎日が楽しくない。」「なんだか腹が立つ」つまり、五月病だったわけです。
そのとき、たまたま手にしたのがこの本でした。

効果と言えば、先ずは、自分が「へなちょこである。」事を認識し、自分が「一人前にならなければ、この状態を脱し得ないのだ。」と励まされたことです。

甘っちょろい僕は、父親の世代のように「無難に定年まで過ごしたい。」とぼんやりと考えていた(それでも、好きな仕事は人に負けないように張り切っていたつもりだった)のですが、そんな僕の甘さにカツをを入れられ、「しかたねぇなぁ。」と、重い腰をフリフリ、あきらめがついた、と言うか、不満を持っている自分を受け入れることが出来たのでした。

本書は、本来、もっと若い男の子のために書かれたもので、どちらかというと私生活をテーマにしているのですが、そう言うわけで、「なんとなく会社に行きたくねぇなぁ。」と思っている方にもお勧めしたい一冊でした。