素直になったプロ市民
★☆☆☆☆
著者の一人カルディコットはプロ市民の星だろう。
だが、この人の無知、論理性の欠如には定評がある。
そんなカルディコットもついに、反省し素直になった。
彼女は「大量報復戦略」「相互確証破壊戦略」は有効であると認め、本書に明記した。
但し、反省はまだ足りないし、素直にかなりきっていない。著者はアメリカを悪者にしたてるため、中露を擁護している。だから、中露に不利益となることには触れない。
例えば、スペースデブリの危険性をさんざん言いながら、原著刊行前に中国が行なった衛星破壊実験には触れていない。著者の不誠実さが読み取れる。
内容はミスだらけ。知識は得られない。(訳者の知識も同様)
例えば、「実際にミサイルを迎撃できたとしても、本来、防衛すべき自国領土が、核爆発によって被爆してしまうからである」と書いている。
核爆弾は精密機械である。迎撃に成功した場合、核爆発は起きないか、起きても威力は弱まる。また、軌道がそらされる。都心で20ktの核爆発が起きるのと、東京湾で1ktの核爆発が起きるのではどちらが良いのか。
こんな、簡単な反論にも本書は対処できない。だから、反戦論者にも全く無価値だ。
本書には、サブタイトルに「<宇宙ビジネス>の最前線」とあるが、ビジネスは全く出てこない。
残念
★★☆☆☆
興味深い内容だったのと朝日の書評でも取り上げられていたので期待して読んだけれども残念ながら今一歩の質だと感じた。翻訳の質に問題があり、言葉の選び方や使い方が不自然であったり、無理な日本語訳を当てはめるため重要な問題点などがぼやけてしまっている感がある。出版前に正しい知識のある専門家にreviewの依頼をすることで防げたと思われる部分が散見される。宇宙関係の専門用語だけでなく一般的な言葉でさえも機械に訳させたものそのままなのかもしれない。SFC関係者なのだから周りには正しい専門家がるはずなのだが残念。最初は翻訳の問題だけかとも思ったが、原書もハードカバーの本になる質の文章ではないのかもしれないという感がある。