人の育て方の一例
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住み込みで働きながら仕事を覚える丁稚。
技術を覚える大事な時期だからこそ、教える側も覚える側も必死である。
技術がいい加減では将来飯が食えない。
人間性のレベルが低ければ技術があっても仕事をもらえない。
教える側も信頼されなければ丁稚も続かない。
本著に書かれていることは職人の世界のみのことではないと思う。
サラリーマンの世界でも同じ。
「おせっかい、ずうずうしい、しつこい」
この言葉が気に入ったが、集団で仕事をするにはこれらが必要だと思う。
自分の仕事にも、部下を育てるにも。
またいい本に出会えました。ありがとうございます。
個性は「型」のあとに。
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芸能の世界には、
「守・破・離」ということばがあるが、
これは、日本人の昔ながらの暮らし、生き方、
そのものの継承のされ方だったのではないか、
と改めて思った。
先人の教えを徹底的に「守り」、
そのあとでそれを「破り」、
さいごに「離れて」、
自分らしさを創っていく。
もう日本には、
見られなくなって久しい世界だと
思っていたけれど、
秋山木工にはそれが残っている。
なんともいい話だと思う。
信念
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秋山氏の信念の力。とにかく脱帽というより他ない。素晴らしい教育者であると思います。
一人前になったらクビにする。なかなかできることでは無い。
本当の愛があるから、怒ることが出来る。
努力・愛の塊みたいな秋山氏には感動です。可能なら是が非でも息子に修行させてみたいです。
あなたは”近頃の若者”と真剣に向き合っていますか?
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読後、「私は”近頃の若者”と心の底から真剣に向き合っているかな?」
と自問自答してしまいました。
この本の内容を、職人の世界だからできること、この規模だからできること、
一種の宗教だ、などと評する人がいるかもしれない。
しかし、これだけ真剣に、これだけ徹底的に新入社員の人生と向き合うことって、
生半可な覚悟でできることじゃぁない。
最近の新入社員に対して「打たれ弱い」、「すぐ群れる」、「覇気がない」などと
他責にするのは簡単ですが、そんな新入社員の人生の一時期に責任を持って、
そこまでの覚悟をもって人材育成をしているのだろうか?と
自責で考えてみることも必要だろう。
人材の育成において「楽をしようとしているのは自分だったのだ」、
と上司や経営者に気づかせてくれる好著である。
良い職人になるには人間性を磨く
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木工製品で最近著名な秋山木工の社長による、徒弟制度式社員教育の実践と自叙伝。
前半は、秋山木工での徒弟制度式社員教育(秋山社長いわく丁稚)の紹介。
秋山木工では、8年間かけて職人を育てるという。
その前半の4年間が丁稚だ。
まず、入社前からすさまじい。
最低1人3時間以上かけの面接、そして親を交えた三者面談。
本人が育った家庭環境まで、採用に大きく影響させる徹底振りだ。
入社後も、大きな声ではっきりと自己紹介できるまで、何度も繰り返しやらせたり、
「職人心得28箇条」を暗唱させたり、日々スケッチブックにレポートを書かせたり、
丁稚というだけあって徹底している。
丁稚の睡眠時間は、毎日平均3-4時間だそうだ。
かなりのスパルタ式社員教育だが、そこはタイトルどおりで想定の範囲内。
しかし、秋山社長の言葉からは、いろいろと考えさせられ得るものが多い。
「やってみろと言われたことは、考えずに、まずはやって見る」
「“がんばる”は禁止(長続きしないから)、代わりに“本気でやれ”」
「後輩を指導することで、教える側も知識を確認し、確実に自分のモノにできる」
「褒めるだけでは、できないことをできるようにすることは難しい」などなど。
結論から言うと、はじめはできなくても、地道に一つ一つをきちんとこなした人が、最後には一番できの良い職人になるようだ。
そして、できのよい職人になるためには、何より人間性を磨かなければいけない、ということ。
後半は、自叙伝的な話になりるが、できればもっと、秋山木工での日常を書いて欲しかった。
特に、丁稚の生の声が少ないのが少し残念。