エピソード0
★★★★★
クラシックシリーズ1の唯一の欠点でもあった友里のバックボーンの薄さを、
このクラシック完結の作品のボリュームで取り返した感じです。
阿諛子の物語もシリーズ前半で前フリがあったので結末が利いてます。
千里眼シリーズは娯楽作品として希有な成功例であり、本作も確かに力作ですが、
幼児性をぶらさげたライトノベル嗜好に近い読者を多く惹きつけてしまった功罪も
この作者にはあると思います。
西村京太郎など人気作家は文庫本が複数の出版社から再発売されるのは当たり前ですし、
タイトルが変わったり完全版・改訂版・新装版というサブタイトルが付くことも良くありますが、
そんなことにさえ慣れていない読書に未熟な人たちが文句を言って雰囲気を悪くしていたりします。
だから今後の作品では、戦闘機とか無敵のヒロインは辞めて、それらのオタク調の人たちを断ち切り、
「催眠」の頃に戻ってくれる事を期待しています。
本作でも、本当の読者はアクション描写ではなく人間の描写に惚れ込んでいるのですから。