「次の自民党総裁」による政策提言
★★★★☆
「次の自民党総裁」を自認する直言居士の政治家・河野太郎衆議院議員による政策提言書である。
これからの自民党は「小さな政府」を目指すということだが,その主張には同調できる。
具体的な内容については,経済,農業,教育,医療,科学技術,外交,国会運営と多岐にわたっているが,その中でも特に経済成長と社会保障について力説している。今の民主党議員にこれほど鋭い政策論を述べられる人がいるであろうか?昔からの自民党支持者としては,河野氏のような有能な政治家がまだまだ自民党にいてくれることは大いに勇気づけられる。
とはいえ,詳細を見ていくとその実現には多くの困難と課題がある。一体いつの話になるやら・・・と思わざるをえない。ぜひとも河野氏の情熱と実行力で突破し,日本に明るい将来が来るよう頑張ってほしいと思う。
「市場重視にすれば税も軽く、競争力も増す」という考え
★★★☆☆
日本の市場の公平性は現在、政府の規制や補助金によって歪められており、劣ったプレーヤーの競争力が高まらないし、国家支出も増える。日本経済の競争力を上げ、国家支出を減らすには、規制を減らしていくしかない、というのが本書の骨子。市場原理主義ではなく「市場で出来ることは市場に」という考えから、食料自給率や私学補助、ODAなど効果の薄い補助金を徹底的に減じるよう提案している。また、予定通り出し続けると10年で50兆円かかるのに子ども手当の費用対効果の数値的根拠は全く明らかではなく、保育園整備に振り向ければ、子育て女性が労働に出て、手当支給額の10倍20倍稼ぎ、税金も納めてくれると、訴えている。
原子力発電批判にはよく分からない所があるが(時間も金もかかりすぎる、最終処分が決まらないという理由らしい)、「需給調整は公平な市場の手に任せる」という著者の考え方に同意できる。ただ、これだけドラスティックな競争社会を提言している著者も、父親が築いた選挙区の半分を貰い受けて政治家やってるというのは、釈然としない気持ちも少しある。でも、自民党が政権復帰した時、本書にある規制緩和案を実行に移し、日本経済が上向けば、そんな色眼鏡は捨て素直に賞賛したい。選挙区で勝ち上がるより遙かに困難な道のりだと思うから。
自民党は小さな政府を目指せるか?
★★★★☆
たまたま自民党の衆院議員である河野太郎氏の「私が自民党を立て直す」という本をもらったので、読んで見た。僕はこの手の議員の本というのは、ほとんど読まない。なぜなら多くの政治家の主張する政策がバラバラチグハグで、読む価値がないからだ。
しかし、河野議員は「みんなの党」の山内議員などと、昨年まで自民党の行革担当をしていたので、基本的には、小さな政府、小泉路線、である。これまでの自民党が政党として存在せず、単なる権力を目指す寄り合い所帯になっていたという率直な認識も、天晴れだと言えるだろう。
具体的な主張としては、賦課方式の現行年金制度の廃止、消費税による年金制度の一本化、無意味な規制と外郭団体の廃止、などなど小さな政府主義者がほとんど共感できるものだ。興味深いのは、すでに原子力利権となってしまっている、核増殖炉は金銭的に数十兆円の損失となり、見合わないから即刻やめるべきだという意見だ。こういったまともな費用便益についての意見を持つ政治家は少なく、まさに慧眼である。
反面、日本の発言力の国際的な地盤沈下を食い止めるべきだ、また日米同盟を重視すべきという意見は、ハト派からは反論もあるだろう。しかしこういった政策的な議論が避けて通れない。どう考えるにしろ、鳩山首相のように、「何も考えていませんでした」という愚は河野氏は繰り返さないと期待できそうだ。
河野氏は河野洋平衆院議長の息子なので、父の代から愛着のある自民党を去るよりも、内部にとどまって改革することを選んだのだろう。ぜひとも河野氏には今後の自民党のリーダーとなり、民主党社会主義政権と対抗してもらいたい。
新しい中道右派などと言わずに保守・新自由主義政党への脱皮を
★★★★☆
少しばかり左がかった人(父親とか?)に遠慮して書いている感もありますが、なるほどと思う事、是非ともやって欲しい事も書いてあります。
ODAや国際機関への拠出金を見直して、国際機関への日本の発言力や日本人の国際機関での登用率を高める事や、国会での党議拘束の廃止(出来たばかりの頃の民主党はコレを言ってた)や議員立法提出に当たって党の承認を無くす事などは、是非とも実現してもらいたいです。
その反面、原子力に発電には金が掛かりすぎており、利権構造にもなっており、廃棄物の問題もあるから、水力や風力発電への切り替えを訴えているのは疑問です。改良しながら推進するとか水素発電の研究を進めるくらいの事は言って欲しかったですね。英語教育も面白い事を言っているとは思いますが、やはりキチンとした日本語教育が先だと思います。
自民党再出発のために、小さな政府・減税・規制緩和を中心とした保守政党あるいは新自由主義政党への脱皮を図ってもらいたいです。左に遠慮して新しい中道右派というヌルイ事は言わないで下さい。