この事件の発端は遠い昔にあり、捜査に連れて少しづつ過去の暗い事実が明るみに出てきます。
人は誰しも過去を背負っている・・・傷あとを抱いて生きる人々の悲しい生き様が見え隠れします。
「女性」というジェンダーが事件のカギになります。女が被害者である限り、事件は終わらない・・・生まれ持った性差、社会の中での女性の位置づけについて考えさせられます。
緻密に組み上げられたフーガの環のおもしろさの割に、あわただしくやっつけ仕事な感じで終結しているところが、ミステリーとしては竜頭蛇尾な印象を拭えませんが、楽しく読める作品です。
今回片山刑事は美人の女刑事と組んで捜査に当たります。女性恐怖症も少しはよくなるでしょうか(笑)
また、根本安雄氏のあっさりしたイラストのゴリラも笑いを誘います。