男の野心と、女の理想の相克
★★★★☆
塩川信子は不毛な結婚に不満を覚えつつ、日常の生活にはない何かを求めて大学の通信課程で学んでいた。スクーリングで大学へ通ったとき、担当の教師である浅野助教授と出会う。世間擦れしていない浅野に信子は新鮮なものを感じるが、浅野は信子を激しく求めるようになってしまう。しかし彼女の夫は...
水の炎という題名で、この炎とは何だろうかと考えた。これは浅野の熱情ではない。信子の中にも、少なくとも途中までは炎はない。むしろ塩川弘治のどす黒い野心の方がめらめらと燃えているように思える。しかしこの題名の意味がわかってくるのはストーリーが終着点にたどり着いたときである。