小生の知る唯一の「ピッコロのための協奏曲集」としてヴィヴァルディが作曲した作品である。オーケストラ作品の中では独奏パートを受け持つことがある割には、全くと言っていいほど独奏楽器として認知されていないピッコロのための協奏曲の演奏をおさめたものとしてこのＣＤを購入した。ディンシュターデの演奏するピッコロ独奏を聴くと、なぜヴィヴァルディ以後の作曲家が「ピッコロのための協奏曲」を作曲しなかったのか不思議でしょうがない。ヴィヴァルディが作曲した作品を聴いて、おそらくはこの作品集を超える作品を作曲できないと多くの作曲家が思ったに違いない。ディンシュターデの独奏によって生き生きと表現されるヴィヴァルディが作曲したピッコロのための協奏曲は、手放しで称賛されるべき偉大な演奏と言ってしまっていいほど素晴らしい。ピッコロという楽器に普段なじみがなくても、ピッコロのための協奏曲を初めて聴くという人にとっても、ピッコロという楽器の素晴らしさを感じさせてくれる演奏であり、万人にお薦めできるＣＤである。