小倉の人力車夫・松五郎(三船敏郎)は喧嘩っぱやいが人情に厚い名物男。そんな彼が陸軍大尉の家族と知り合いになり、大尉の戦死後、未亡人よし子(高峰秀子)とその子どもに愛情を持って奉仕し続けていくが…。
名匠・稲垣浩監督が戦時中の1943年に監督した名作を、同じ脚本(伊丹万作)でカラー・リメイクしたヒューマン映画。戦中の作品は軍部の検閲によってカットを余儀なくされており、その無念の想いを15年後の日本映画黄金期にぶつけたものでもあった。旧作と比較しても甲乙つけがたい秀逸な出来栄えで、58年のヴェネツィア国際映画祭ではグランプリを受賞。三船の豪快かつ純粋さ際立つ名演はいつまでも忘れがたい余韻を残す。なお同作は、その後63年(東映)と65年(大映)にもリメイクされている。(増當竜也)
「義」を貫く
★★★★★
松五郎の一生は果たして、未亡人の思慕だけで語れるのか。
僕は彼の生きざまを貫くものに、「義」を感じてやまない。
偉そうに講釈を垂れる僕にもない物だが、恋慕の情だけであそこまで他人の為には生きられないだろう。
そして、圧巻の祇園太鼓…
これはもう、語るまでもない。
松五郎の躍動感が、力強さが最も噴出したシーンだ。
腹の底が熱くなる感覚と、涙なしには見られない映画である。
暖かい映画
★★★★★
無法松の愛が、この映画に満ち溢れています
竹を割ったような性格の人に自分は会ったことがないのですが、こんな人を言うのですね
この時代には社会保障無し、福祉無しの時代ですが人と人との繋がりで生きている様子が描かれていて今の時代の人には斬新に映るかもしれません
そして三船敏郎さんの太陽のような演技が凄い
大好きな映画です!!!
★★★★★
最近、遅ればせながら三船敏郎さんの映画にはまっています。三船さんの映画は、今まで黒澤明監督作品しか見ていなかった私でしたが、この「無法松の一生」に主演されているのを知り、ほかの方々のレビューを読んだら無性にこの映画が見たくなり、即注文しました。
この作品は、素晴らしいです!!!後半は、もう涙が止まりませんでした!やはり三船さんはすごい俳優さんですね。豪快で喧嘩っぱやく、一方人情味あふれる車引きの松五郎を見てると、三船さん自身もこのような方だったのかなー?と思われるほどです。
この映画の中で特に素晴らしいのは、ほかのレビューにも書かれているように、やはり祇園太鼓のシーンでしょう!このシーンの三船さん(松五郎)は、豪快で「これぞ日本男児!」というような男気にあふれていました。しかし勇ましく太鼓をたたく一方で、このときの松五郎の心情は、高峰秀子演じる未亡人へのかなわない想いや本当の父親のようになついていたボンボンが成長して離れていった寂しさなどがない交ぜになっていたのかなーと想像すると・・・泣けてしまいます。
また、この映画には随所懐かしい日本の風俗、文化が盛り込まれています。オープニングに映し出される懐かしい駄菓子やおもちゃの数々、豆まき、こいのぼり・・・。今の日本は暗いニュースばかりで、日本人も心がつい荒みがちですが、この映画を見ると古き良き日本文化に心が癒されます。今の映画は、露骨な性描写や過激な暴力シーン、CGの多用などでたびたびウンザリすることがあります。こんな時代だからこそ、このような良質な映画をもっと見たいと思います。
とにかくこの「松五郎の一生」は、見てよかったです。大好きな映画です!(ただ、ラストは悲しすぎです。松五郎が可哀想すぎる・・・)
NO.165「む」のつく元気になった邦画2
★★★★☆
<元気コメント>
竹を割ったような性格。
しかし女人への思慕は言い現せない純情さ。
古きよき時代の日本人男性の理想像ではないでしょうか。
今度は勇み駒じゃああああい!
★★★★★
戦前からの日本映画ファンの方に言わせれば、“無法松”はなんと言っても阪妻―ということになるそうですが、この三船版もすばらしいと思います。 阪妻版はいかに優れているとは言っても、重要な部分をカットされた不完全版であることにかわりはなく、見ていていま一つ、最後の盛り上がりを感じることが出来ませんでした。 その点、三船版は最後まできちんと描かれていますし、なんといっても鮮やかなカラー映像も魅力です。 高度経済成長期以降によく描かれるようになった寒々しい豊かさでなく、素朴だけど人々の元気いっぱいな様子が伝わってくるような、目に見えない豊かさが確かにそこにはあります。 あのオープニングの音楽からしてなんとも言えないおおらかさと人情味を感じさせてくれます。
黒澤作品とはまたひと味違った三船敏郎の魅力がこの作品には溢れていて、あの祇園太鼓を叩く場面の見事な技+筋肉には目を見晴らされます。 他のレビュアーの方も書いておられますが、あれはウェイト・マシーンとステロイドで作られた肉体ではありません。 この場面で彼が唄を歌ったり威勢よく叫んだりするのですが、あいかわらず何を言っているのかよく聞き取れません。でもなぜかそこがたまらなくカッコよくて思わず微笑んでしまうのは私だけでしょうか? また、喧嘩や大立ち回りといった、いかにも三船ーという場面ではなく、彼が善良そうな顔で落ち着いて話している場面の優しくて包容力のある声のトーンにもなんとも言えない魅力があります。 こういう人達がいて、こういう生活がかつて日本にはあったんだーという確かな手ごたえを感じさせてくれる暖かい佳品だと思います。 今こそ再評価を!