本気で、中国進出を考えてない人も、いまの中国の空気を知るいい情報源ですよ。
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「中国に進出しないことが最大のリスク」の時代になってきました。
そしてなにも大企業でなくとも、中小企業でも、
中国のニーズをくみ取れば「逆転可能なのが中国の面白さ」なのです。
しかし、「準備ができていない戦いはすべきでない」ところなのも確かです。
ということを教えてくれます。
中国って、日本に比べて「格下」っていう見方、まだまだ根付いているのではないでしょうか。
たかだか3度しか中国に行ったことないわたしですが、わたし自身にもそういう偏見があります。
上海では、あれだけ世界に誇れる建築物がありながら、
鉄道の上海駅は、昭和40年代を感じさせたりするから、余計にそう感じるのです。
そんな格下と感じる日本人が多いのでしょう。
その事例として、携帯電話の戦略で、ほとんどの企業が中国市場から撤退しているのを紹介しています。
その様相は、アメリカが日本に車を輸出したとき、
決して右ハンドルを作らなかった感覚を呼び起こさせます。
そうです、どこかで、「おれのほうが偉いんだぞ」があるのでしょう。
では、経済で無視できない中国に、どういうマインドセットで臨めばいいのでしょうか。
それには、やはり日本人の格下意識を捨てて、相手を尊重し、相手のニーズをきちんと把握する。
そして相手の国民性を理解したうえでの、労務契約システムを作る。
中国の人は、日本人より欧米的なのです。契約ごともしっかりしないと、
日本のように「なあなあ」でやると痛い目にあいます。
とにかく「企業は人なり」は、グローバル・スタンダードです。
そしてそのシステム作り。
そのノウハウは、経営コンサルのプロである町田さんが、
「8つのポイント」で明確に教えてくれます。
事例が一部上場企業なので、中小企業にとってはちょっとハードルが高いのですが、
基本精神は、大きさに関係ないので、その分はとても参考になりますよ。
本気で、中国進出を考えてない人も、いまの中国の空気を知るいい情報源ですよ。
悩める中国現地法人関係者だけでなく、広くビジネス関係者にすすめたい、中国現地法人で人材マネジメントを成功させる方法論
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中国現地法人で人材マネジメントを成功させるためには何をしなければならないかを説いた、熱い情熱にあふれたビジネス書である。
中国に進出した日系企業が抱える最大の問題は、何といってもヒトにかかわる問題だ。とくに、現地経営のカギである中国人マネージャーが定着せずに簡単に転職してしまうという深刻な問題である。この問題に悩んでいない日系企業はないといってもいい過ぎではない。
中国人は基本的に個人主義的であり、候補も含めてマネージャー・クラスの人材は、少しでも個人としての実績を評価してくれる企業で働きたい、少しでも自分を成長させてくれる機会を提供してくれる企業で働きたいという、強烈な上昇志向をもっている。「世界標準」で思考し行動する、ある意味ではアメリカのビジネスパーソンみたいなものなのだ。
だから、中国人材のマネジメントは、日本で成功してきた常識はそのままでは通用しないのである。
人事コンサルタントである著者は、現地日系企業に対する豊富なコンサルティング経験のなかから、価値観を徹底的に刷り込む経営で「中国で尊敬される企業」第3位に輝いた、自動車メーカーの広汽ホンダと、2005年に700人の中国人社員が出社拒否をするという非常事態を経験し、この状況を克服するために大改革を行った結果、現在では年率140%の成長を実現するカネボウ化粧品中国の事例を詳細に紹介している。
とくにカネボウの事例では、著者自身による人事コンサルティングの内容が導入プロセスとともに詳しく解説されており、悩める中国現地法人関係者には大いに参考となるはずだ。
本書は、現地法人での中国人材マネジメントにかんするノウハウも随所にちりばめられており、すぐに使える具体的なものも多い。
悩める中国現地法人関係者だけでなく、本社の経営層やグローバルマネジメントを統括する管理部門のスタッフだけでなく、広くビジネス関係者に読むことをすすめたい。