PRの“大人からコドモまで楽しめるどこか懐かしい冒険物語”というのは大ウソで、トーマ・ヘルガ・ベフォールの子供たちの、どのキャラクターに感情移入するかで観終わった感想がまるで変わります。
ハナシの流れ的に観る側が一番感情移入しやすいのはトーマだと思いますが、ラストで彼を待ち受ける真実はとても重く残酷なもので、純粋な方や繊細な方が彼に感情移入したまま甘い結末を期待してると重度の鬱に入るのは確実なのでまずそこはご注意を。明らかに一番感情移入しやすいキャラにさんざ勿体つけて期待を裏切るような結末にしたことに何かしらの思惑があるとしても、その後のアフターケアが不十分なので観る側をケムに巻いたスタッフの悪趣味ととられても仕方ないです(やるなら真実を受け入れた後立ち直ったトーマの姿をもっと描くべきだった)。
ただヘルガ・ベフォールの子供たち視点で観た場合、とても爽やかな後味で観終わることができます。ヘルガは前世の記憶のため、ベフォールの子供たちは自分達の使命のため、それぞれ“こころの故郷”とでもいうべきものを渇望しながらさまようのですが、最終話で彼らが下した結論はとても力強く心洗われます。
いろんな意味で『新しいものに挑戦した』、スタッフがホントに努力した作品なのは認めます。ただ少し危うい科学的裏付けと『転生』の扱い、視点によっては救いのない結末と、決して“誰にでもオススメできる冒険物語”の冠を与えらる類のものではないので、☆3つにしました。