けっこう簡単に登っている
★★★★☆
1992年に出た単行本『七大陸最高峰に立って』の改題・文庫化。多少の加筆がなされているという。
著者は、エベレストに登頂した世界最初の女性として有名な登山家。
本書は、彼女が七大陸の最高峰を制覇した記録である。七大陸の最高峰ではあるが、一般に知られているのとはやや異なり、ヨーロッパはモンブランでなく旧ソ連のエルブルース。オセアニアはコジウスコではなくニューギニアのカルストン・ピラミッドに登っている。
本書を読んで驚くのは、どの山も簡単に登ってしまっている点だ。ビンソン・マッシーフとアコンカグア、キリマンジャロはツアーで行く。マッキンリーやエルブルースにも難なく登っている。エベレストですら、たいしたことではなかったかのように描かれている。まあ、実際には苦労もあったのだろうが、それをさらりと書いてしまえるところが凄い。
山の怖さや苦しさとは無縁の登山書で、新鮮な面白さがある。