恐れ多くも一筆…
★★★★★
まず本書を他社版と比較するとページ数が随分と少ない印象があります。値段でこちらを選んでから一瞬「すわ、短縮版か簡略版か!?」と思いましたが、おそらく他社版には長い解説がついているのではなかろうかと思います。本書は短縮版でも簡略版でもありません。バークのテキストのみで、解説はなし。頻繁に登場するフランス語、ラテン語句に英語訳もついていません。
和訳は みすず書房さんの翻訳が立派で、岩波さんは社是からか名文の破壊的翻訳に挑んで成功したとの噂です。前者は値が張りますし、後者はお手頃価格ですが避けるべし、という訳で、英語が読める方はいっそ原文を読んでしまいませう。シェイクスピア英語のような世界ではありませんし。
「フランス革命」と聞いて「ベルばら?」と答える痴的なワタクシが本書の内容を喋々する気はございません。噂によく聞くエドマンド・バークの名文を読んでみましょう、という程度の気分で手に取りました。心もとない理解度ではありますが、古典的教養が血肉化したなんとも格調高い散文です。且つ、名文句がざくざく登場するので高揚感があります。以下の言葉は有名なのではないでしょうか。
「Society is indeed a contract …… a partnership not only between those who are living, but between those who are living, those who are dead, and those who are to be born」
現代アメリカ社会についての考察かしら、という投機社会についての言及もあります。
「The truly melancholy part of the policy of systematically making a nation of gamesters is this; that tho' all are forced to play, few can understand the game; and fewer still are in a condition to avail themselves of the knowledge. The many must be the dupes of the few who conduct the machine of these speculations.」
ページを繰りながら頭の中にグルグルしていた疑問は以下でした。「このような偉大な良識・常識の声は果たして集団ルサンチマンのキ○ガイ状態に対抗出来るのだろうか?」。機会があれば、狂気に対して狂気で対抗した(←勝手な印象)ジョゼフ・ドゥ・メストレの著作も読んでみたいですね。