「愛してる」とか、
「元気出せよ」とかいう言葉は、
情報量にすると1ビットしかなくても、
人の心を動かす。

人の心は情報量で動くんじゃない。
たった一言でも、肩をたたくっていう何気ない行動でも、
心は動く。
それが心を打つものであれば。

ただ情報を詰め込んで言いたいことを言ってるだけじゃ、
ダメだと思うな。

この本の特徴は、短い時間で(比較的熟読型の私でも読了まで3時間以内)
無駄にページ数が多いだけのビジネス書の何倍もヒントが盛り込まれている
ということです。

それは、あたかもこの本を通じて主張していることの答えにもなっている
と感じます。

ページ数は少ないです。だからこそ価値があると思います。

新たな視点を手に入れたい人には、大変有用な内容です。サービス業に就く人にも一読の価値があります。値段だけの価値はあります。文章は批判的に眺めないと書き手の思考を押し付けられる、という当たり前のことから始まります。

この作者は裏表と単調に考察するだけでなく、立体的に物事を見ています。
しかも、それをエッセイ的というか、語り言葉で話して（書いて）くれているので、体に自然と入ってきます。

ゆえにネットリとした難しい本好きの人には物足り無いでしょうが、忙しいサラリーマンや学生にはおススメです。
一章毎に短く完結しているので、読んでは閉じて読んでは閉じて・・・・と、長くなっても大丈夫。

内容的には余計な言葉が入っていないのでいたってシンプル。
「もし携帯電話が電話としてデビューしなかったら？」
の章では実は携帯電話は電話では無く無線機だと教えてくれます。
そして、
「電話機と命名したから売れたのだ。」
と、結論付けています。
単純ながら、とても重要な着眼点を色々教えてくれます。

読んで急に人生変わる本ではありませんが、ゆっくり物事の奥深さを考えさせてくれる、心に残る1冊です。
（でも、薄い）

単行本ででていた同書の単行本化だ。だから内容については単行本のそれと一緒だろうけれど、本書を初めて読んだ印象としてはやはり『目からうろこ』というところか。
誰しもが目にしている日常の中からどうやって着想を得るのか、については『シーマン』の例を持ち出しているパートがやはり圧巻。もうすこし具体的で深いレベルまでいってほしかったが、あとがきによれば、その本も執筆中というから、期待させる。