懐かしい雰囲気
★★★★☆
凄く懐かしい感じのする本格ミステリーでした。地図にさえのってない小村スリー・パインが舞台。
そこで起こった殺人事件をガマシュ警部が捜査する事になるけど、我慢強く人の話を聞き相手の気持ちを理解できるので穏やかな気持ちにさせてくれます。
今流行りの科学捜査もなく古風な捜査方法がメインやけど、逆にそれがいいですよ。
一癖も二癖もある登場人物が登場して物語にアクセントを加えてるけど、新人刑事ニコルの言動には終始イライラさせられました。
ガマシュ警部の堪忍袋の緒が切れる前に読者の堪忍袋の緒が切れそうです(笑)。
内容はともかく
★☆☆☆☆
内容はともかくとして,日本語の翻訳が下手すぎる,直訳のまま.日本語表現としておかしなところが多すぎる.もうちょっとどうにかなると思うのですが...
田舎町での老婦人の不可解な死をめぐる
★★★★☆
カナダの田舎、それもフランス語圏のケベックの小さな村を舞台に描いています。アメリカともイギリスとも違う雰囲気です。風景や登場人物の個性、そしてプロットが緻密で楽しめます。鬼気迫る興奮はありませんが、主役のガマシュ警部は、P・D・ジェイムズのダルグリッシュのように雰囲気を備えています。翻訳したランダムハウス講談社はコージーミステリーが多いのですが、本書は、それらとは一線を画すものです。私は本書をとても楽しく読みましたので、翻訳が続いてくれるとうれしいです。また、欧米で評価の高い作品、あるいは何がしかの賞受賞した作品は安心して読めますね。
久々の大型本格派女流ミステリ作家の登場を祝福し今後の活躍に大いに期待します。
★★★★★
カナダが生んだ大型新進女流本格ミステリー作家ペニーの名だたる多くの新人賞を総なめで獲得した話題のデビュー作です。著者はあの英国ミステリーの女王クリスティー女史の後継者と目される逸材との各方面からの賛辞にワクワクしながら読み始めましたが、結果は期待に違わぬ出来栄えの堂々たる傑作であると確信し久々に大きな才能の手応えを感じました。本書は2005年に発表された作品ですが、良い意味で古き良き時代の古典探偵小説の匂いや味わいが濃厚に感じられます。初登場のケベック州殺人課のアルマン・ガマシュ警部は村人達への人当たりが良く部下の面倒見も良い人情警官と思いきや、反面なかなかに手厳しい態度で新米の部下を叱責し、己の信念を貫く為なら職を賭す事も辞さないという強い意志の持主で、個性的な将来の名探偵候補として大いに期待が持てます。二人の脇役を紹介しますと、警部の相棒を務める堅実で真面目なボーヴォワール警部補、出世主義でチームの和を乱しまくる新米女性刑事ニコルは愚かなはみ出し者なのですが不思議と見放されずに生き残る強運を持つ憎めないキャラです。
物語はケベック州の小村スリー・パインズで感謝祭の朝、森の中で老婦人の遺体が発見されて始まる。死因は矢を胸に受けた傷と見られ当初はハンターの誤射による事故死と思われたが事態は一転し、急遽ガマシュ警部が殺人事件の捜査に向かう。本書では被害者ジェーンの友人で勘の鋭いクララがヒロインとして活躍し、他にも個性的な大勢の村人達が物語に華を沿え大いに盛り上げています。真相は勿論申せませんが、物語巧者の罠にかかると用心していても見事に騙されるなあと実感しました。良いミステリを読むと何時も「物事は決して見かけ通りでは無い」事を思い知らされます。犯人隠しのテクニックや犯罪動機の人間ドラマに長けた本格派女流ミステリ作家の登場を祝福し、今後の活躍に大いに期待したいと思います。
次回作が楽しみ!
★★★★★
“Still Life”の原題が示す通り、ストーリー展開も背景も、一言で言ってとても「静か」です。連続殺人が起こって、スリリングな展開があって、アッと驚く仕掛けがあって−−−というようなハラハラドキドキの内容を期待すると、肩透かしを食らうかもしれません。
けれど、何と言ってもプロットは緻密ですし、カナダという、英仏二ヶ国の文化的背背景を持つ登場人物の描写が丁寧で、読み進めているうちに、スリー・パインズという架空の町と、そこに住む人々にとても愛着がわいてしまいました。特に、新米刑事ニコルの存在がストーリーにスパイシーな味わいを加えていて面白かったです。
次回作も必ず読みます。翻訳も良かったです。