「風」最高傑作。伊勢正三、大久保一久の感性はすばらしい。
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「22才の別れ」で有名な伊勢正三、大久保一久のフォークディオ。「風」。通算5枚目にあたる本作はもう「フォーク」といえないすばらしいサウンドで溢れている。3rdアルバムからエレキギターを手にした伊勢正三は、その卓越したメロディーメーカーの力量を遺憾なく発揮していく。当時はこの変化がファンの間で支持の仕方が分かれたが、私は賛成派であった。緊張感が張り詰める1曲目「月が射す夜」。そして、言葉が研ぎ澄まされ、最小限度の表現で情景を描きだす、「曙」「流れる」「夕凪」。どの曲も伊勢正三の感性がリスナーの気持ちを引きずり込んでいく。もうひとつの注目点は、大久保一久の作品群が、とてつもなく完成度がましたことである。本作で伊勢と肩をならべてアルバムのクオリティーを支えている。「あとがき」「すれちがった肩ごしに」「漂う」などLPだったいわゆる「A面」の5曲中3曲を大久保作品で並べられている。初めて聴いたときに驚きと2人が対等の関係に習熟したと強く感じたものである。LP発売が1978/10/5発売。今回、デジタルリマスターされて購入。聴き込んだが、30年の歳月が経過しても色褪せないすばらしいアルバム。