古楽器による堂々たるブランデンブルク協奏曲全集
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第1番と第2番が94年1月、第3〜6番が93年5月の録音。この頃には古楽器による演奏が広く普及し、時として衒学的な解釈や奇矯な演奏にとまどうことがあったが、本作にはそのような奇をてらった所はない。実に堂々たる演奏で、音に自然に身をまかせることができる。
古楽器によるブランデンブルク協奏曲演奏の場合、管楽器と弦楽器のバランスを欠き、妙に管楽器が目立つものがあるが、本作にそのようなバランスの悪さはない。本作の場合、弦楽器・チェンバロの音がふくよかで、心地よいことこの上ない。有名な第3番・第5番はもちろん、第4・6番の素晴らしさを特記したい。
ある意味王道を外さない演奏だが、第2番でのトランペットに代えてのホルンの使用、個々の協奏曲での16または8フィートの弦バス楽器の選択等、緻密な研究結果に基づいてバッハの意図した音に近づけようとする努力を怠っていない。私は第2番でのホルンの仕様は良い効果を奏していると思う。
一連のシリーズ同様、リマスターされた音質は演奏に一層のはなやぎを添える。レコ芸特選というのも十分納得できる傑作だ。
聞き飽きず、安心できる名演
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バッハが好きで、ラ・プティット・バンドのファンの評価だからあまり参考にならないかもしれないなぁ、と思いつつ★★★★★。
20年ぐらい前に、グスタフ・レオンハルト、フランス・ブリュッヘン、シギスバルト・クイケンなどが演奏する古楽器の魅力にとりつかれてバロックが好きになった。その前からクラッシックは聴いていたが、古典派までで、バロックやルネッサンスにとりつかれるように聴くようになったのは、彼らの演奏に接したから。
しばらく、ラ・プティット・バンドの演奏は聴いていなかったが、来日(2006年)を機会にCDを買った。やはり20年の間に演奏の水準が高くなっていることが感じられる。バロック時代の息吹を現代によみがえらせようとする演奏スタイルは聞き飽きず、心地よく響く。数あるブランデンブルグ協奏曲集の中で3,000円近い値段を払って手元に置くに値する一枚であることは間違いない。