すごく練られた作品!でも…
★★★★☆
中学生が語り手で、爽やかで読みやすく、どんどん引き込まれる作品です。
展開も、練るに練られていて最後の最後まで分かりません。
でも、私はその最後の最後でいい意味でも驚き悲しくもなりました。
読みやすくて凄く面白いし、一気に読めると思います。でも読みやすく尚且つミステリー好きな方には、魔術はささやくのほうが読み応えがある気がします。
※ネタバレです。
ラストで、お母さんが全て加担してたのはちょっと悲しかったです。大切な子供や旦那さんを散々苦しく悲惨な目に合わせて、大博打と言えば聞こえはいいけど、散々世間を騒がせた共犯者ですよね…。
雅男は、表面上は許してもこれから先も心のどこかにしこりが残るんじゃないかなと感じました。
少年の両親に対する優しさが全面的に描かれていた気持ちのよいミステリ
★★★★☆
相場師がお母さんに残した5億円の謎を巡って、息子の中学生の雅男とその友達の島崎が調査に乗り出すというミステリなのだが、いい意味でミステリらしいドロドロした場面や、緊迫した場面がなく、少年の両親に対する優しさが全面的に描かれていた気持ちのよい物語だった。突然、見たこともない大金が入ってきたことにより、嫉妬、脅迫、疑惑などあらゆる負の感情に支配され人間の弱さが出てしまう様子も丁寧に描かれていて読みやすかった。
宮部みゆきっておもしろいんだ!
★★★★★
なんとなくダークそうなイメージがつきまとって
なかなか読む気になれなかった宮部みゆきの本だったが
背表紙の作品紹介に惹かれて読んでみたらおもしろくて1日で読了。
読み始めた最初の方は5億円という巨額の富が転がり込んできたことに
わくわくして5億円あったらなにに使うかな、
とか呑気なことを考えながら読んでいたわたしだが、
もちろん話はそんなに簡単ではない。
なんでもない普通の家庭にいきなり大金が転がり込んできたのだから
周囲の好奇の目、不審の目、脅迫、などなど負う心労は計り知れないし、
それと同時に自分もそうした目を持っていることにぞっとした。
そんな苦しい状況にありながらも時折そんな切羽つまった状況とは
思えないような少年についての微笑ましい記述も出てくる。
わくわくして、はっとして、ぞっとして、なるほどね〜となる
いろいろな感情が忙しく楽しめる1冊だと思う。
やはり宮部作品。単純には進まないな
★★★★☆
少年の語り口で語られる、家族に巻き起こった巨額の遺産相続事件。
確かに、突然5億円をどうぞと言われ、尋常で済む家はないだろう。
しかし、それがどう家族を変えていくだけか、なんてことで宮部作品が終わるとか思っていなかったが、やっぱそうか。
こんな導入が、どう推理に、サスペンスになるのかしらと思っていたら、あれよあれよといううちに、しっかり宮部ワールドに引き込まれてしまった。
これはなかなか、おもしろい。
正直言うと、中学生の語り口で進められる、というのは余り好きではない(子供の語り口というのがちょっと苦手)ので、その点心配したけど、それはまぁ、気にならなくなった。
終盤、何重かのトリックというか、展開の意外さが、なんだか二つ目の作品に入ったような感じで、これはもうけたという気持ちと、微妙な違和感とを感じる部分があって、何というかな、都合よくできすぎではないか、と言う気分でありました。
ま、それがフィクションと言うことだけどね。
人が殺されないミステリー。
★★★☆☆
残虐な描写などが全くなく、青少年に読ませても安心。中学生である主人公の僕の、テンポよい語り口が軽快なミステリー。
ストーリーもやや現実離れしているので、真相がわかってもあまり驚きがないです。
若い読者層を想定して書かれたものなら良質の作品だと思うが、大人が読むには、少し物足りない。