しっとりとエリントンを歌う
★★★★★
キャロル・スローンのエリントン集。しかも伴奏はサックスのケン・ペプロウスキとピアノのブラッド・ハットフィールドだけ。慎ましやかな内輪だけのパーティーです、といった趣がかえって新鮮。 曲目は言わずもがなのエリントンナンバー。スローンの歌唱はさすがに年齢による衰えは隠せないものの、長年培ったヴォイスコントロールがそれをみごとにカヴァーしている。とくに曲のエンディングに多用されるファルセットがなんともいえない味と色気(!)を出しています。
伴奏はペプロウスキの活躍が印象的。あるときはベン・ウェブスター風に、またあるときはポール・ゴンザルベス風にテナーを吹くかと思えば、クラリネットに持ち替えてジミー・ハミルトン風にもキメテしまう、というふうにひとりで何役ものエリントニアンを演じる離れ業(?)を披露している。最後の曲ではスローンとデュエットまでして、歌いかたは異なるがレイ・ナンスの役もこなしている。一方ハットフィールドは裏方に徹してサウンドを手堅く支えている。音質も良好。スローン・ファン、エリントン・ファンそしてペプロウスキ・ファンは必聴です。