大人にとって似たような本が日本にあまりないのは幸いだ。子供達のむちゃくちゃ広い好奇心と想像力をまるごと満たすには少々足りないかもしれないが、それでもこの辞典の範囲は、神話、歴史、宗教、哲学、音楽、芸術、地理、医学、科学技術と広い。大人の化けの皮が剥がれるのは必然。たとえばEli Whitneyは何をした人?と聞かれて答えられるだろうか。
さて、日本の大人にとっては(子供たちにとっても)、この本は教養を確かめたり身に付けたりする意外にも使い道がある。意外と調べにくい問題、たとえば数学で出てくる円錐は、はたまた円弧は英語ではなんといえばいいか、大脳と小脳はそれぞれなんといえばいいか、テコの原理で日本語なら「支点」という、あそこは英語なら何になるのか、などなど。何しろ「教養の辞典」なのだから、あまりに「当たり前」すぎて、調べるのが難しいことが、実に広いジャンルに渡って載っている。そしてそういう背景知識がないと、いくら語彙を貯え文法を学んでも、英語学習は何でもないところでつまずいたりするものなのである。そこはそれ、何しろ最初の辞典だけあって、じつにわかりやすい英語で書いてある。
英語の「当たり前」は、ネイティブでない我々には難しい。そんな訳で、この本は日本の大人(そして子供)にとっても、「当たり前を知る/調べる」ための「最初の辞書」になるのである。