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偶然性・アイロニー・連帯―リベラル・ユートピアの可能性

価格: ¥4,200
カテゴリ: 単行本
ブランド: 岩波書店
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公正であることが、なぜ利益にかなうことになるのかーーープラトン ★★★★★
本書の序文は、上述のタイトル文で始まる。プラトンというヘレニズムの代表者と欧米哲学の背後を支えるキリスト教の主張を、公共的にも私的にも融合しようとする<欲張り(筆者)>にして、現実的で政治的な枠組みで人間と哲学の関係を検討しようとする。しかし、この二律背反的なテーマを棄て去り、公と私が共約不可能と居直られたときに、どう対応すれば良いのか、というのが本書が試そうとする議論である。そして、この矛盾に満ちた課題を解読するために、リベラル・アイロニストという人種を設定する。リベラルとは「残酷さこそ私たちがなしうる最悪のこと」と考える人であり、アイロニストは「重要な信念や欲求は、時間と偶然性を超えた何ものかに関連して」いるという考えすら捨て去れる唯名論者を指す。
現実世界のアポリアを、徹底的な合理論で再検討しようとする著者の戦略的な議論は、まさに目から鱗が落ちる思いである。援用されるテキストも哲学者から文学者まで、哲学の終焉が、文学の始原と謂わんばかりに「言語論的転回(Linguistic turn: 言語それ自体への回帰)」を実行してみせ、実り豊かな議論のシンフォニーが響く。味読に値する1冊である。