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ベナンダンティ―16ー17世紀における悪魔崇拝と農耕儀礼

価格: ¥3,150
カテゴリ: 単行本
ブランド: せりか書房
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人は人の手によって実りを得るのか。 ★★★★★
久しぶりにギンズブルグなんぞ引っ張り出してみた。
大学の講義で『夜の合戦―16〜17世紀の魔術と農耕信仰』という本を題材に使った事があって、ペーパー数枚分だったものの、面白かったので買ってしまったという。

ベナンダンティとして選ばれた男女がその年の穀物の実りを守るため、身体を抜け出した魂が姿を変えて、悪霊や悪い魔法使いストレーガと戦うというイタリアの一地方でキリスト教化以後も残存していた、土着の信仰を色濃く残す農耕儀礼。
それを教会側は悪魔信仰や魔女裁判に持ち込み、18世紀には殆どなくなってしまったらしい。
初期の段階では土着信仰とも緩やかに繋がっていたキリスト教が徐々に排他的になり、悪魔化されていく民衆信仰を判りやすく教えてくれる。

ただ、私が一番気になったのは、ベナンダンティが人間だったということ。
幾多の神々に祈り実りを求めた時代から、実りを勝ち取るものが幾らか霊的な力を持つとはいえ人間になっていること。
人は人の手によって実りを得るのか。
実りを支えるのは、キリストでもなければ、かつて存在したであろう神々でもない。
そこに神はいない。
教会が恐れたのは、キリストに代えて異端を信望することよりももっと深い部分だったと思う。