リヴァイバルじゃくくれない
★★★★★
Steve Earleを父に持つJustin Townes Earleの4作目。
作品をリリースする毎に凄味を増しており、本作は間違いなく彼の最高傑作。
もはや血筋も糞もなく彼のミュージシャンとしての核が出来上がっている名作だ。
50年代、60年代のトラディショナルなポップスを、簡素な楽器、少ない音数で甦らし、且つ現在を生きる人間にしか作り上げることの出来ないミュージックにアレンジされている。
非常に知的で素朴で美しいアメリカーナだ。
アコギ、アップライトベース、オルガンに、トランペットやサックスでゆったり綴られるフォーク/カントリー。
冒頭の古き良きロカビリー、シャッフルや「Ain't Waitin'」のようなヒルビリーブルースもナチュラルなロール感で最高、スラップなアップライトベースの躍動感が気持よい「Move Over Mama」なんかBilly Lee Rileyみたいでかっこいい。
トラディショナルなフォークカントリー「Workin' For The MTA」のPaul Niehausの鄙びたスティールギターの哀愁、「Wanderin'」のようなWoody Guthrieから現代まで受け継がれるフォーク曲も渋い。Ketch Secorのハーモニカに泣く。
個人的には「Slippin' and Slidin'」や次の「Christchurch Woman」のレイドバックしたR&B、サザンソウルな歌が大好きだ。トランペットやサックスが優しく厚みを増し、元Drive By Truckers、Isbellのエレキギターも重みがある。本作のハイライトかも。
「Learning To Cry」「One More Night in Brooklyn」のような完成度の高いフォークカントリーも落ち着く。
全体的にトラディショナルなサウンドだが、ひとつひとつの音がセンス良く、落ち着くところに落ち着き、必要な所にアレンジやユーモアを重ねる。
男らしく、スマートなJustinの歌声、表現者としての目線も素晴らしく、曲の完成度も抜群。