一般化学の本は、はじめのほうに原子の構造について解説しているものが多いが、電子配置や量子数などの説明に割いているページ数は多くても10ページくらいであろう。
本書は、言ってしまえばその数ページの部分のために200ページを割いた本である。基本的には見開き1ページでひとつの事柄についてまとめてあり、左側には文章、右側にはそれに関連する図、という2ページ完結性と視覚に訴える構成になっている。したがって、非常にすっきりした印象を受けるし、また文章が簡潔なため、要点がとても分かりやすい。しかしその完結性に起因する部分で、少し難しめの話では、文章が短すぎて分かり辛い部分もいくつか見受けられたが、それは私の勉強不足の責任かもしれない。
ともあれ、何よりもお伝えしておきたいのは、今まで化学が嫌でしょうがなく、全く手を出さなかった私がポジティヴに自分から化学の勉強をしようと思い立たせてくれたのは、紛れもなく本書のおかげであるということだ。
もしも私のように化学が嫌いだが、勉強しなくてはいけない、という状況に置かれている人がいたら、ぜひともお勧めしたい1冊である。