少し難しい、仏教学に入っていくための入門書
★★★★★
この本は、何を言っても鎌倉時代のものであるから、部分的に言えば、現代の研究から言えば訂正されるべき所も多くあるが、全体としては、八宗について、うまくまとめられている。それに、この本では、鎌田氏による注や付記が部分的な問題点などを指摘してくれているので、
鎌倉時代のものでありながら、割と最近の研究に基づいて読むことができる。
鎌田氏は、冒頭で、この本の読者に対する位置づけを、仏教学に入っていくための入門書としているが、私は、鎌田氏の指示通りに彼の著作の『仏陀の観たもの』より、この本に入らなかったので、基本的な用語や思想などに関しても頻繁に仏教辞典を引きながら読むことになってしまった。そのようなこともあって結構難しかったが、仏教学のしていることの部分をかいま見ることができてとてもおもしろかった。