堅実なモーツァルト
★★★★☆
5年ほど前にラジオでバッハ国際コンクールに14年ぶりの1位が出たということで紹介されたのがマルティン・シュタットフェルトでした。
ラジオ越しに聴いてもただ者じゃないなと思いましたね。揺るぎのないテクニックに少しもいやみが無く、とてもさわやかに感じられました。バッハのコンクールで優勝するだけあって、全ての音を大切に弾いている印象を受けました。
デビューアルバムの「ゴルトベルク変奏曲」もおすすめ。このモーツァルトは全てドイツ人の演奏のせいか、少し「異質」であると感じました。
ピアノにもオケにもモーツァルトの音楽が持つ軽快さは影を潜めていて、全てのメロディー・和声・リズムを際だたせようとする演奏は、まるでバッハの協奏曲を聴いているようです。ピアノの音も少し重い感じ。
クララ・ハスキルに耳が慣れてしまうとゴツゴツした印象はぬぐいきれませんが、誠実でさわやかな演奏でこれはこれで素晴らしい内容だと思います。