いろいろな意味で古典
★★★☆☆
ヒロインの貴婦人が裸になるまでに200ページ、凌辱されるまでにさらに50ページかかります。
それも初凌辱は、もう終わってしまった、という過去形で語られるもので、初挿入時の盛り上がりなどは皆無。
それだけ費やしても、凌辱への期待感やムズムズ感が盛り上がるならともかく、それもなく、凌辱者側の事情が延々語られるだけ。
いちおう読者視点の男主人公・相田ですが、凌辱者側のヤクザ集団に加わったにもかかわらず、同情心から貴婦人や娘を逃がそうとします。(上巻では娘はまだ逃走中)
誰が得する構成なのだ、と。
「花と蛇」もそうだが、大長編でもあり、官能SMの成り立ちを味わいながらゆるゆると読むのには適しているかもしれない。
同じ団鬼六作品なら、じっくりとページを費やしながら隙がなく、あらゆる方向から官能に焦点を当て、中後半は驚くほど盛り上がる、「お柳情炎」「無惨花物語」などの作品が、初心者には実用的で読み応えもあると思う。