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ヒミズ 1 (ヤンマガKC)

価格: ¥580
カテゴリ: コミック
ブランド: 講談社
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何が起きるかわからない第一巻 ★★★★★
中学3年の住田はいつも、手癖の悪い友人の夜田とつるんでいる。彼の人生に対する
唯一にして最大の願いは、「普通」であること。不幸でも幸福でもなく普通に生きる。他
人に迷惑もかけないから、頼むから俺にだれも迷惑をかけないでくれ。そんな彼だった
が、どう考えても「普通じゃない」世界に引きずり込まれていく・・・。


冒頭にていきなり、人生についての哲学的思弁が展開される本作であるが、それが嫌味
にならないのがこの作家のいいところだ。主人公住田の哲学は、きわめて現代的だ。個
性尊重主義というのは大人が若者につけたレッテルに過ぎず、大多数の者はとにかく
「普通」を確保したがっている。それは平穏な幸せという「暖かい普通」というよりもっと
消極的な「冷めた普通」だ。しかし住田のその願いはもろくも崩れ去る。今や、「普通」で
さえそうなれたら御の字なのだ。

この点において、評者はこの古谷実という漫画家がかつて「限りなく透明に近いブルー」
を発表したときの村上龍のように、現代の空気を的確に感知しているように思えてしょう
がない。少なくともその感度は、下手な純文学作家のそれを凌駕しているだろう。

そのほかにも、十代にしてサイババのごときルックスを手に入れた赤田や、シュールなメ
ガネ女子茶沢さんの活躍もあり、がやがやとにぎやかなギャグパート主体の第一巻だ。
全巻読み終わっての感想です。 ★★★★★
普通の大人、普通の暮らしを目指す住田。
誰にも迷惑をかけない、だから誰も俺に迷惑をかけるな。
そんな住田の想いとは裏腹に
少しずつ、じわじわと崩れ始める彼の日常。
1巻はそんな感じです。
彼は色々な人と出会いますが、登場人物の誰もが、彼の事を真に理解する事はできなかったでしょう。

誰もが心に抱える負の部分
一見いい人そうに見えるけど、糞のような大人たち
世の中にいる頭のおかしい連中は、実はすごく身近にいて
普通と言われる人の延長に、犯罪者はいるのです。特別な人間なんておりません。

この漫画には様々な主張が込められています。
古谷実の作品の中で最も輝いている漫画だと私は思います。


タイトルの”ヒミズ”とは漢字で”日見ず”とも書くモグラに良く似た生き物です。
日の当たるところには出ない、地中でひっそりと暮らす生き物の事。
タイトルからして秀逸。
前作から今作への突き落とし幅が物凄い ★★★★★
「稲中」初期からも随所に感じられた胸の痞えは、新作毎に重みを増して行った。グリーンヒルでも、かなりシリアスに人間の日常は描かれていた。作品発表の度に、作者の表現したい[色]ははっきりと見えるようになっていたのだ。それは漆黒ではない。グリーンヒルまでは[ギャグ]の要素が何気に隠してきた暗黒の色が、今作品には惜しみなく塗り込まれている。推理作家の我孫子武丸さんと共通する。デビュー作からのシリーズ物等では、優れたユーモア描写で笑わせながらも、何か淀んだものを拭えない。そして、かの「殺戮にいたる病」で読者を叩きのめし、どん底に蹴り落としてくれる。故に、「稲中」から発表作品順に読破すれば、きっと作品の面白みは大きくなる。
人間の愛しい部分、汚い部分、生きるという行為、まるごとに焦点をあてた必読書! ★★★★★
「稲中卓球部」で有名な古谷実の最高傑作。本作「ヒミズ」は「稲中〜」とは違い、ギャグは皆無。
主人公の男子中学生を通して「生きるとは、どういうことなのか?」不平等、格差、才能、犯罪、偶然、必然、環境
などについて考えさせられる作品だ。全4巻。

ストーリーを簡単に説明すると、主人公は、特に将来の夢などを持たない「普通」の男子中学生。「平凡に
幸せに生きること」を目標に日々を生きている。両親は離婚していて、母親と二人暮らし。
ある日、母親が少しのお金を残し、家から出て行ってしまう・・・。さらに父親の借金(600万)を彼が背負うことに
なり、平凡に生きることを目指していた彼の人生が一変してしまう・・・・。


古谷実の哲学的思想、重いテーマを扱いながらも作品中に見られるユーモアは、僕らに癒しと感動を与え、自分の人生に
ついて考えるきっかけを与えてくれる。


僕は、稲中〜は個人的にあまり好きではありませんが、このヒミズは、10回以上読み返してしまうほど、大好きな作品
ですね。必読だと思います。

人間の一生って、不思議だよなあ・・・(苦笑)
魂の苦難の遍歴 折り返し点 ★★★★★
相克という閉塞 を砕く 創作という闘争
悲劇という現実 を掬う 止揚という偉業
泥と血に塗れながら 地に叩きつけられた拳
巻き上げられた土に託された哀しみの発露に
どうか読者という神の祝福を。