傭兵の乱暴狼藉に始まるジムプリチウスの遍歴と冒険、
延々と続く略奪の繰り返しが30年戦争の実態と、
この本ほど強く訴えるものはない。
しかし、それ以上に強く引かれるものは、
作者の卓越したストーリーテラーとしての技量である。
題材を荒削りにこれでもかこれでもかと惜しみなく使い、
一気に上、中、下と三巻を読ませて貰った。
小説としての面白さも素晴しいものがある。
訳者の文体は多少古くなっても決して読みにくいものではない。
むしろ17世紀中頃という時代背景において、
いい味をかもし出しているといえよう。