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縞模様のパジャマの少年

価格: ¥1,890
カテゴリ: 単行本
ブランド: 岩波書店
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子どもに読んで欲しい本 ★★★★★
映画にもなった作品。
ナチスドイツによって強制収容所に入れられた少年と、収容所の所長の息子である少年との交流と悲劇の話です。
小学6年生の娘が、小学校の社会で第二次世界大戦について学んだり、広島へ修学旅行へ行って原爆ドームで戦争の悲惨さを見てきたところなので、夏休みの読書感想文の宿題用に購入しました。
夏休み色々読んだ本の中でも印象深かったようです。
幼い読者たちが、結末を理解できなかった自分から、理解できる自分へとやがていつか成長することを期待する小説 ★★★★★

 ベルリンに暮らす9歳の少年ブルーノとその家族は、ソートーさまが食事に来た数日後に西の街へと引っ越すことになった。お父さんがシューヨージョの仕事を与えられたからだ。ベルリンの友達と別れて新しい町で寂しい思いをするブルーノだが、新しい家の窓からは縞模様のパジャマを着た子供たちの姿が数多く見えることに気づく。子供たちのうちの一人はシュムエルという名前の同い年の少年だった。ブルーノとシュムエルは急速に仲良くなっていくのだが…。

 アイルランドの作家が少年少女向けに書いた中編小説です。
 スペインに暮らす私の友人が最近読んで大変感銘を受けたと知らせて来たので、私も邦訳版を手にしてみました。

 ブルーノ少年はソートー様がどんな人なのか、父親が仕事をしているシューヨージョがどんなところなのかも分かっていません。シュムエルがなぜ縞模様のパジャマを着ているのかも理解できていません。
 後づけの知識がある私のような大人の読者はさておき、真に本書が対象としている幼い読者たちは、ブルーノとシュムエルを取り巻く環境の異常さがどういう政治的・歴史的背景に拠っているのかが理解できていなければ、本書の最後で少年二人の身に何が起こったのか、結末の陰惨さに覆いをしたかのように言葉を絞ったその描写では理解することがかなわないかもしれません。

 しかし、そこでこれを<理解をはねのけた物語>として捨て置くのではなく、いつの日にか立ちかえってその結末を理解できる自分を見つけられるように、次の一歩をなんとか踏み出すことを期待した小説だと考えてもらいたいものです。
 そして近い将来、物語の結末の意味するところを十分に理解し、胸締めつけられる思いにとらわれてもらいたいと思います。
 それこそが、「過ちをくりかえさないようにおぼえておく」(21頁)という作業の一歩にもなるはずですから。
言外に書かれていることの重さ ★★★★★
探検好きの9歳の少年ブルーノが主人公です。
場所はポーランドのとある収容所です。
父親が収容所長となり、住み慣れたベルリンを離れるところから話は始まります。
ブルーノは、幼すぎて「収容所」の意味も解らず、ポーランドと言う土地も知りません。
彼の知らない土地での寂しさを紛らわしてくれたのは、「収容所」の中にいるユダヤ人の少年シュムエルだけでした。

「縞模様のパジャマ」は、収容所の制服のことです。
タイトルの「縞模様のパジャマの少年」が、シュムエルを指すのか、ブルーノを指すのか、それとも二人共なのかは解りません。
でも、そこに込められているのは、フェンスを超えて結ばれた二人の少年の友情であり、「縞模様のパジャマ」はその象徴でしょう。
ブルーノが「縞模様のパジャマ」に着替え「収容所」に入って行くラスト間際のシーンは、素直で幼い少年の純清さが大人たちの醜い対立構造の中で押しつぶされてゆくようで、読んでいても胸が苦しくなってきます。

この物語の素晴らしさは、この少年の素直な純清さが書き込まれれば書き込まれるほど、ここには書かれていない大人の世界の醜さが強調されるところにあると思います。
フェンスに阻まれた少年二人の友情は、大人たちの思惑を超えて結びつきました。でも、それが結局悲劇に終わる時、大人たちの世界も崩れてゆくのです。
この言外の重みが、堪らなく素晴らしい作品です。
二人の少年をめぐる悲劇―『遠いむかし』のできごととして ★★★★★
本書は、アイルランド出身で

短編小説を中心に活躍してきた著者による

ホロコーストを題材にした長編小説。


収容所を管理する将校の息子と

収容所に収容されたユダヤ人の少年―

彼らはフェンス越しに友情を育みますが

その先には、大きな悲劇が待ち受けています。


厳格ではあるが家族を深く愛し、

よき官僚であるがゆえに大虐殺を指揮する父

ことあるごとに主人公を馬鹿にする姉

父が軍人になったことを誇らしく思う祖父と快く思わない祖母

そして、ある秘密を持った父の部下

―など、それぞれ複雑な内面をもった登場人物たちはとても魅力的で

読後、本書では描かれない「その後」を想像してしまいました。



また、物語は純粋な少年の目から語られるので

複雑な事情や固有名詞、具体的な状況は示されませんが

その分、読者は「1940年6月」、「総統閣下」、「見解の相違」

などの語を手がかりに、登場人物たちを取り巻く環境を

より主体的に想像することになります。


個人的に印象深かったのが

本書を締めくくる

「これは遠い昔に起こったことで、その後、おなじようなことはけっして起こっていない。

この時代、いま現在では。」という一文。

もし、いつかこうした「時代」が来たら

それは本当に幸せなことだし、絶対に来てほしいと強く思いました。


歴史書などでは汲み取られない人々の内面と悲劇の重さを

作家の想像力が見事に照らし出す本作。


自分たちも、加害者にも被害者にもなりうる話として

ぜひ多くの方に読んでいただければと思います。
最後の最後に・・・ ★★★★★
ベルリンの豪邸に住むブルーノは、軍人の父親の仕事の都合でベルリンからは遠く離れた土地に引っ越すことになります。
そこのまわりには家が一軒もなく、さらにフェンスを隔てて気味の悪い世界が広がっていました。
退屈な日々を送っていたブルーノは、ある日探検にでかけます。
そして大きなフェンス越しに縞模様のパジャマを着た少年と出会い、二人には友情が芽生えますが別れの時がきて・・・・・。

読んでいくうちに、縞模様のパジャマを着た少年の事実が少しずつ明らかになっていきます。そして最後の数ページ、今まで読んだ本の中で一番驚きました。また、すべてを理解するのに時間がかかりました。
軍人の息子とフェンス越しに住んでいる少年の関係を知ったとき、本当に驚きました。
この作品はとても考えさせられるものでしたが、読んで絶対損はないと思います。
大人から子供、色んな世代の人に読んでもらいたいです。