ペットセメタリー
★★★★★
これを撮ったのはきっとロマンチックな方だと思う。暇や隙間に喜びを感じない人には退屈に映るかも知れませんが、行為のさなかにぴたりと動きを止めることで一枚絵として完成するだけでなく、けして積極的でない女の子が不安そうな顔をする。「もっとしてえな」じゃありません。足場を引き抜くことで精神の遭難をあえてもよおすようにし向けています。特筆すべきは早乙女ルイさん。見間違いかも知れないけれど、うっすら見られる躊躇い傷。肉体という容れ物は厄介であり頑丈である半面、自壊を選択した魂はかくも移ろい儚く脆い、まるでこういうことでしか私は他人を喜ばせることができませんとでも訴える物憂い眼。そんな女の子に無碍に性の歓待を強いなかった、よく喋りけたたましく喘ぐようなまねをさせなかったのがまたえらい。他人に抱く妄想やあさましい己の欠落した部分を嫌というほど再認識させられる作品。早乙女さんは別嬪です。