とにかく前のめり
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今からすると20年前のアルバムになるのだろうが、僕が生まれたのとほとんど変わらないくらい昔に作られた音なのだなと思うとなんだか嬉しさで泣きそうになる。
確かに皆さんのおっしゃるとおり、音質は良くない。ベースが聞こえづらいし、ペラペラの紙みたいな音で尚且つくぐもっている。だが、どうしようもなくツンのめりで前傾姿勢で、今にも倒れこみそうなほどスピードにこだわった彼らはもうこの頃から神がかっていた。モーターヘッドをこよなく愛する彼ら、なんとTr.3でいきなりモーターヘッドのiron fistカバー(もちろん、原曲よりも速くなっているのは言うまでもない、)をやってのける。ほかのメンバー無視でひたすら自己中にガリガリ刻むギター、速すぎてリズムがもたついても負けじとついていこうとするドラム、とりあえず下品に叫びまわっているヴォーカル、どこをとっても徹頭徹尾オトコメタルである。メンバーが実は3人だけだと知ったときにはとても驚いた。スカスカの音でも、たったスリーピースでこれほどにも覇気に満ち満ちていて鬼気迫る音楽が出来るのだと感心した。日本語に直すと「迫害オタク」、ちょっとひどいんじゃないかと思ってしまうタイトルである。
ドイツの3大スラッシュメタルバンド、Destruction、Kreator、Sodom。その中でも速さに執拗にこだわったのがこのSodomである。守りの体制を一切排除した音作りの先に、オトコの桃源郷が見える気がする。