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イルカ―生態、六感、人との関わり (中公新書)

価格: ¥777
カテゴリ: 新書
ブランド: 中央公論新社
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イルカさまざま ★★★★☆
イルカ尽くしの1冊です。
まだまだいろいろと謎の多いイルカを
いろいろな観点から取り上げてくれているのには
驚きでありました。

ちなみに冒頭の写真には
今となっては生息地の汚染により
ほとんど姿を見ることができなくなってしまった
ヨウスコウカワイルカがのっています。
これはかなり貴重な資料でしょう。

メインはやはり
愛すべき存在としての
イルカでしょう。
そう、ヒトとイルカの項です。
中にはイルカと共同して狩りを行う地方も
あったのは驚きでした。

そのほかには神話の中のイルカや
イルカの知性なんかも出てきたりと
充実した内容の新書でした。
イルカのことならこれでひと通り ★★★★☆
 イルカの学術的な定義・分類から、その生態、神話や表象文化論、人との関わり、知性やコミュニケーションまで一通り、最近の研究の成果や課題点が網羅されている。
 派手さはないけれども、現時点でのイルカに関する一通りの知見は得られる。個人的には、その知性や言語能力についての記述が大変興味深かった。
イルカを学ぼう ★★★★☆
 イルカについての生態、人間との関わり、研究の歴史を概観した新書。
 本書でも簡単に述べられているが、日本は古くから「イルカ漁」がさかんで、イルカを食料としてきた民族。新書という紙幅の制約はあろうが、個人的にはその辺の、イルカの水産学的な動向、生態的な特徴をもう少し詳しく知りたかった。
エンターテイメントとして期待するもの ★★★☆☆
読後感想をひとことでいうと「楽しくない」のである。それは何故か。知的興奮が少ないからだ。こういう本からは自分が今まで知らなかった事柄や新たな視点を学ぶことを期待する。ところがそれが少ないのである。特に踏み込みの浅さを感じるのはイルカの「知性」についてである。それは専門の研究者である著者がそれに対する知識を持っていないということではありえない。その理由はとりあげる内容が総花的で深く踏み込んだ記述が少ないからだと思う。新書という媒体の性格もあろうが、著者が「一般」読者向けを意識し過ぎた結果、ダイジェスト版になってしまったのかもしれない。もっと著者の思いを率直に書いてもらいたいと感じた。もちろん総花的というのは悪い訳ではない。イルカについての幅広い知識が得られるという目的はこの本ではある程度達成されることは言うまでもない。
イルカの知能研究の現状 ★★★★★
浜辺でのんびりひなたぼっこをしているオタリアの群れに、突然シャチが海中から浜辺に乗り上げて、子供を追い詰め噛みつく。獰猛なシャチの映像。ところが、著者によると、この画像は事態を半分しか伝えていない。実は海中には、もう1匹別のシャチがいて、慌てて海中に逃げてくるオタリアの子供を、待ち受けていて仕留める。しかも浜辺に乗り上げるのは、シャチにとってもリスクのある行動で、この狩猟の前に、他所で、自から浜辺に乗りあげ、自力ですぐに海に戻れる練習をしているそうです。ザトウクジラでも、自分達が出す泡を使った集団でのニシン漁が見られます。このような生きるための高度な知能だけではなく、人間と接触が多い沿岸性のイルカや水族館の調教イルカでは、ヒトとのコミュニケーション行動も確認されています。

この海中に住む特別な哺乳類、鯨を研究している著者が、鯨研究の最新の研究成果、加えて民俗学的な鯨譚、日本でのイルカブームの変遷現象などをも詳説、鯨総覧のようです。しかし本書の主眼は、イルカの特別な点、その知能の研究史です。米国でのイルカの知能研究史。ベイトソンのダブルバインドもイルカに試されたようです。それらの研究者に続く著者が、専門のイルカの認知能力研究の現状を述べています。水族館のイルカに聴覚と視覚との刺激を組み合わせて、ヒトと双方向で互いに意図を発信、それを理解できる方法を工夫。イルカの言語の理解をはかっているそうです。現状では、個物の命名段階で認識を共有できているそうです。今後研究が進み、異種間コミュニケーションが更に進めば、ヒトも今とは違う見方ができるようになるかもしれませんね。