中国の古典に造詣の深い方なのでしょう
★★★☆☆
しかし、これって怪談なんですかね?
どうもその辺りがいまいちピンときませんでした。
短編がたくさん詰め込まれていて色んな話が楽しめるとは思います。
掌編小説の書き手がプロデビュー
★★★★☆
『竜岩石とただならぬ娘』です。
表題作である第2回『幽』怪談文学賞短編部門優秀賞受賞作の『竜岩石』と、もう一つの表題作である『ただならぬ娘』など20作からなる掌編、短編集です。
作者は以前から掌編のコンテストで実績があった方のようです。
長編小説というのは多数出版されていますが、最近は短編集というのはあまり多くなく、掌編というのは更に少なくて、ほとんど見かけることもありませんので、掌編の書き手が脚光を浴びるのは斬新でいいのではないでしょうか。
中国志怪風ということで、いずれの作品も質が高く、まるで昔からあったものであるかのようです。
ホラー、というには恐怖感は大きくないかもしれませんが、「怪談」つまりあやしい不思議な話としては、短編、掌編という形式ならではのキレも活かされていて、良かったように思います。
中国ものだけではなく、現代日本を舞台にした話もあります。いずれの作品にも、巻末解説にあるようにアジアンテイストがあって、一冊の本として統一感を持たせてありました。
作者の今後の活躍に期待したいです。
古典的で新しい
★★★★★
20の話の入った短編集。
あの、これ新作なんですか?って聞きたいくらい、古典的で味のある文章と個性的なお話。中国の昔の話を訳したんじゃないかって感じです。
とても21世紀の新人作家の本とは思えないくらい情緒があります。
わくわくする冒険譚から切ない話まで本当にいろいろなお話があって楽しめます。
純文学が好きな人にもオススメの一冊です。
どこか懐かしい「志怪」の世界
★★★★☆
「幽」怪談文学賞短編部門の優秀作「竜岩石」他、中国を舞台にした「志怪」ものを中心とした短編集。
「聊斎志異」を代表とする中国の「志怪」小説のファンは多いだろう。妖異が身近にあり、人々もそれを受け入れて暮らしているその世界はどこか懐かしい。感情描写を極力避けたこの作者のサラリとした書きっぷりもいい。とりわけ余韻のあるラストはどの作品も共通しておりストーリーテラーとしての作者の巧さが現われている。
作者の今後の展開に期待したい。