主人公が魅力に乏しい
★★☆☆☆
優れた天文学者の高橋至時の息子から見た父の姿なのだが、父が人生の末期に新しい知識に燃えて蘭学書の翻訳に打ち込むのにくらべ、主人公である息子が頼りなく、自分の人生も見いだせておらず誠に魅力がない。
読んでいて主人公のとろさにイライラしてくる。
題材はおもしろいはずなのだが。
題材にセンスを感じます
★★★★☆
主人公が江戸後期の天文方高橋至時の息子.
父が天才ゆえに息子が悩み,そして成長していくさまが
至時の死ぬ前の大事業オランダの天文書の翻訳を通して描かれています.
伊能忠敬の測量の話もからんできます.
伊能忠敬は日本地図を作ったすごい人ぐらいにしか思ってなかった人が
少しくせのある人として描写されているのは新鮮です.
テーマが江戸時代の科学ということで面白いのですが,
主人公の岡場所でのやりとりなどは不要.
また,主人公の心の変化の描写はいまいちなので,☆一つマイナス.
一握りの天才とその他の平凡な人間
★★★★★
天才天文学者高橋至時、その嫡男作助の、ある程度理解できるが故の自分が天才ではない(自分が必要とされていない)と気づかされるやりきれなさに胸が締め付けられます。
ただ、自分の限界を知ってふてくされる作助も、いろんなことに興味をしめしたり才能をみせる堀田摂津守に魅了され、その中で自分の進むべき道を見出していく。
天才高橋至時だけの話ではないのです。
それと、親兄弟との掛け合いの中での心理描写がうまくて、引き込まれるように読んでしまいました。
ぜひ一読されることをお勧めします!!
エンジニアにお勧め
★★★★★
オランダの天文学書の翻訳の経緯を書いた本ですが、翻訳を支える人間の姿が描かれています。科学者や技術者はその功績は生み出されたもので評価されることが多く、とかく研究に没頭し社会や家族をおろそかにすることもありますが、この本は死を賭して翻訳に熱中しながら人間として素晴らしい生き方をした高橋至時と伊能忠敬や家族の話で、科学も人間が命を削って作っていく様が描かれており、科学や技術者を志す人が読めばきっと良かったなと思うでしょう。著者「鳴海 風」は一流企業の現役のエンジニアです。