現代ロック界を代表する天才ギタリストの5年ぶりのスタジオ・アルバムは、“狂人の真実への探求”というコンセプトを持った3部作の第1部。メタル、プログレッシヴ、ジャズなどのジャンル分けを超越したサウンドの万華鏡が、聴く者の想像力のツボを押しまくる。ホーンをフィーチュアしたファンキーな「ファイアウォール」、映画音楽ばりのオーケストラルな「ロータス・フィート」など、奇想天外な音楽性は一筋縄ではいかないが、ビリー・シーン(ベース)、トニー・マカパイン(キーボード)という最強の布陣を得て、スティーヴのイマジネーションの華が咲きほこっている。「フリーク・ショウ・エクセス」でのビリーのベースは鬼だ。大胆な創造性と卓越したプレイで武装完了、いま音楽の冒険の旅が始まる。(山崎智之)
ギター魔術師・Vaiが魅せる、「現実的な幻想」名盤!!!
★★★★★
2005年、Steve Vaiのアルバムです。
今回は、「真実の求道者たる狂人の妄想」に基づいた、コンセプトアルバムです。
ヴォーカル曲が、tr. 2,5,10,11で、他はインスト曲になっています。
どの曲も、ジャンルを超越したVai音楽で個性的ですが、非常に聴きやすく、アルバム全体の流れもいいです。
Heavyなリフが印象的な、tr. 1
摩訶不思議なメロディ、畳み掛けるようなリズムがかっこいい、tr. 3
Steve VaiのG & Billy SheehanのBが悶絶ものの、tr. 6
オーケストラと共演した、とてつもなく美しいインスト曲、tr. 7
狂人が、「光明を見出す」「悟りを開く」瞬間を捉えたような、tr. 11
。。。などなど、素晴らしい楽曲が満載です。
1曲1曲で、メロディーが結構展開していくのが、特長的です。
「聴きやすいのに、聴き込みが必要(飽きにくい)」「聴き込むほどに、曲の凄さを感じる」アルバムだと思います。
また、Bassが、Billy Sheehanなので、Rock系の深みのある安定した低音になっています。
次々と繰り広げられるメロディー・技巧・音世界は、とても幻想的!で魅了されます。
いわば、「幻想的な現実」。。。いや、「現実的な幻想!?」、
こんな具合に、Vai先生のギター魔術が、現実と幻想の境界線をトロトロにしてくれます。
「Steve Vaiファン」には、マストCD。
聴きやすいので、「Steve Vai初心者」「Fire Gardenが好きな人」にも、オススメです。
いつか、Princeのように、映画も作ってもらいたいです!
より多くの人に
★★★★★
ドラマのシーンテーマに起用されるなど、全体を通してただのキワモノよりは、より多くの人がVAIの世界に耳を傾けることが出来る、そんな一枚。聞けば聞くほど意外にメロディーは単純、クラシック的な要素とJAZZ(フュージョン的?)っぽい感覚に一見複雑とおもわれるVAIの作品。しっかりと裏打ちされた構成の元にギターが唸り(しゃべり?)泣いてゆく。とことんギタリストであり、ソングライターよりはコンポーザー系のアルバムだと思います。今回も?(近年のVAIの傾向?)オリエンタル的な要素もしっかり盛り込んであり、アジア人としてはうれしいところ。TAB譜→フルスコア(オタマジャクシ)のような「ロック・ギターアルバム」。ギタリストは一音一音、表情を変えながら弾くVAIの姿を想像して(エアーギターも可)、クラシックやJAZZ系の方もタクトを振って、フリーセッションして、そんな感覚でVAIワールドに浸ってもらえたらなと思う一枚でした。
アルバムは☆5、ケースが割れて届いたので☆4、でもやっぱり☆5。
やっている事が凄いし、とにかくカッコいい・・・ビリーシーン(B)の参加で、アルバムがパワーアップ!!
★★★★★
2005年リリース・・・コンセプトアルバムという内容なので、日本盤のライナー付(対訳付)がオススメです。正直歌詞を読んでも、コンセプトの中身を把握出来る人はいないんじゃないかなあ(笑)・・・フランクザッパの影響を多大に受けている人なので、こういったアルバムをとにかく制作したかったのではないでしょうか。私的にロックのコンセプトアルバムとしては、キャプテンビヨンドのファースト位の衝撃がありました・・・全体の流れがとにかく見事だし、それを表現する各プレイヤーの演奏が素晴らしい!!ライナーを見ると、G3のメンツのバンドスタイルで制作されています・・・スティーヴヴァイ(G/Vo)・ビリーシーン(B)・トニーマカパイン(Key/G)・ジェレミーコルソン(Dr)・デイヴワイナー(G)、ビリーとの共演はやはりマジックがありますよね!!冒頭のタッピング(ライブの映像を観て、ビックリ!)からSTEVE VAI WORLD全開で、本当最高のアルバムです・・・約1時間という長さも、とても好感度(笑)。そのうち続編も出るのかなあ・・・必聴!!!!!
う〜ん…
★★★☆☆
他のレビュアーさんは皆さん軒並み最高評価ですが、正直、僕にはそこまでの良さが分かりません。理由は“コンセプト色が余りにも強過ぎる”から。まぁ、ヴァイ自身がコンセプト作品としてるからそれは当然なんであって、皆さんはその観点に沿った評価なんでしょうね!?
ただ僕の様に“久々に盟友ビリーと競演?これは超強力な神業ユニゾン&キラープレーのオンパレードに違いない!!”という点を期待してると、見事に肩透かしを喰らいます!もっと単純明快にキラープレーが聞きたかった…という事でこの評価止まり
幻惑に身を任せよ
★★★★★
スティーヴ・ヴァイの、そして特にこのアルバムに於いてはギターの技巧的な意味での難易
は最早話題にすることさえナンセンスであり、他のギタリストと比較する行為など意味を持ち
得ないだろう。無論ギタリストとしての彼は最高峰のテクニックを持ち、ライブでのその華や
かなステージングは圧倒的である。しかし完璧に咀嚼した音楽理論の上に構築された超理論的
な建造物としての『スティーヴ・ヴァイの音楽』の中で、それはあくまで表現方法の一つに過
ぎない。
ヴァイの来歴や作品を知り、聴き込んできた人にとって、今作品が生まれるべくして生まれ
てきたものであることは火を見るよりも明らかなはずである。彼は元来エンターティナーであ
って、特徴的で聴き慣れないスケールや難易度の高いフレーズをあくまでポップに聴かせるこ
とを得意とし、それはこのアルバムに於いても同様である。けれども、このアルバムはコンセ
プトアルバムということを抜きにしても過去の作品と比べて異色の作品と言わざるをえない。
なぜなら今作は表面の皮を剥いて初めて現れる蠱惑的な甘い果肉のように、リスナー側の音楽
的な知識によって到達できる部分がこれまでの作品と比べてもあまりに魅力的なものだからで
ある。難解で緻密な楽曲の構造、理論を超えた和音の構成と連結、そこへ流れる独特な旋律と
律動感覚、その全てに彼の才能が満ち溢れている。
しかしそのようなことを言えども、これはスティーヴ・ヴァイ渾身の芸術作品である、完全
に解釈することなど不可能であろう。日本人は特にマジックなどに対して、種を明かしてやろ
うと気を張って見がちだというが、確かにその通りかも知れない。ただこの音楽に耳を傾け、
ヴァイのIllusionに素直に幻惑される楽しみを味わうことの方が彼の望むところであるとも言え
るだろう。彼に魅せられた人ならば、目を閉じてこれを聴けば彼がどんな表情で弾いているか
容易に想像できるはずである。