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安全保障の国際政治学―焦りと傲り

価格: ¥2,940
カテゴリ: 単行本
ブランド: 有斐閣
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極めて難しいが、外交・安全保障のプロ必読の一冊 ★★★★★
 この本は一見極めて難解だが、国際政治に関する戦略的な最新理論を限られた紙数の中で野心的・総合的に説明している。
 自分は外交、安全保障に携わる実務家として、長年海外の現場で各国政府と交渉・コンタクトする立場にあるが、この本は、大げさにいえばバイブルとして、何回も読んで、要旨をノートにまとめることまでしている。欧米人はじめ外交・安保のプロと意見交換するにあたり、知的リソースとして大変重宝している本である。
 食べ物に例えればスルメのようで、硬くて消化は大変だが、時間をかけて何度も何度も噛んでいれば、かならずしみ出るような濃厚な味が出てくる一冊である。
 ただし、外交史、国際法、国際政治論にある程度の基礎知識がないと読破はできないので、大学院生レベルまたはそれ以上で、基礎知識を学んでからチャレンジすべき本であろう。
セキュリティ・ジレンマにいかに取り組むか ★★★★★
安全保障問題に関する透徹した論理的分析を行った書。
寝ながら読んでわかるというほど易しくはないが、じっくり読めば読むほど考えさせられるタイプの良書であろう。

本書で扱われているのは、安全保障にかかわるさまざまなジレンマ・パラドックスと、それをどう解くかという問題である。

例えば、自国が強大になれば自国は安全が増すが、その分他国の不安は増し、結果どんどん軍備を増強しどんどん不安になっていくというハーツの「セキュリティ・ジレンマ」
国家の相互協力が望ましいとわかっていても、相手の裏切りが怖いために協力できないバターフィールドの「ホッブスの恐怖」
国内のアナーキーを食い止めるために作った国家が、国際社会にアナーキーを出現させたというワイトの「ホッブスのパラドックス」
せっかく力や領土を得ても、それを奪い返されるのではという恐怖から安心できなくなるという「セキュリティ・パラドックス」
核抑止は、核を使ったら相互に破滅するので核はあくまでも抑止としてしか効果は持たないが、だとすると実際に攻められたら核を使うのか、使うのは無益だが使わないなら抑止効果がそもそも消える、というパラドックス
同盟についていくと戦争に巻き込まれるが、ついていかないと同盟を破棄されて見捨てられるという「同盟のジレンマ」

こうした極めて難しい問題が本書では上記以外にもいろいろと投げられている。


こうしたさまざまなアポリアに対し、例えばアナーキーはただちに闘争になるのではなく、状況次第では制度も構築されること、攻撃兵器と防御兵器の峻別が図れればセキュリティジレンマのスパイラルを抑えられること、などを指摘することで、こうしたアポリアを粘り強く解いていこうとする。
また、こうした前提としての「国家=容器メタファー(境界線を守り、外への流出の禁止と中の異物の除去を行う)」の存在や、プロスペクト理論による洞察など、幅広い視点からこうした問題を取り扱おうとしている。
「勝機に乗じた戦争」(勝てそうだから攻めた)と「脆弱性による戦争」(自軍が弱いから先制攻撃しよう)の峻別などはなかなかだと思う。

論点の整理としても十分すごいし、その分析、視点の提供は非常に鋭い。
国際関係論をやるなら外すべきではない一冊。
豊かな学識に満ちた健全穏健な安全保障論 ★★★★★
本書を読むまでは安全保障論というのはタカ派的な危険な思想だという偏見を抱いてきたが、非常に豊かな学識と教養に裏づけられた含蓄に満ちた書であり、「安全保障」に関心のない方にもお勧めである。
リアリズム(強硬派)の思想的裏付けとなるトゥキジデスやマキャベリ、ホッブスについては文学的な解釈から、リアリストたちが一面だけをつまみ食いして都合のいいように、弱肉強食のアナーキーな国際社会観を形成してきたこと。
ミクロ経済学を裏付けとしてきたアクティブ(攻撃的)リアリストの効用論については、ゲーム理論や行動経済学のプロスペクト理論を援用して、効用や価値判断の非対称性を説明したうえ、パワーの関係よりもむしろ、「安全を失うこと」への恐怖や「安全コスト」の過大評価が軍備拡大や戦争突入へのインセンティブとなっていることを明らかにしてディフェンシブ(防御的)リアリズムリベラリズムとの接点を見出している。
本書は非常に分かりやすく明快な本だと思うが、もし難解で衒学的に感じられる向きは「国際関係理論」(勁草書房)を先に読んでおくと、飛躍的に視界が開けてくることをお約束する。
学問としての安全保障 ★★★★☆
現在の安全保障理論を体系的に紹介した本。章の多くは著者が以前に発表した論文を加筆などを加え転載したもの。内容は、具体例も引いているとはいえ、やはり理論書なので抽象度が高く、一読して理解することは困難であるかと思う。じっくり取り組んでほしい本である。
また注釈は非常に充実しており、大学院生が論文を書く際の文献収集にも十分な役割を発揮すると思われる。安全保障の学問性を再認識できる本である。
理論書 ★★★★☆
現代の安全保障に関する洞察にみちた理論書。難解な文章がやや難点か。