懲りない男
★★★★☆
戦国時代終盤に出羽・陸奥を席巻し、後の徳川政権下でも政治の中枢を担う等あらゆる方面への才能を発揮した政宗。
序盤は「人取橋の戦い」で政宗主従を守るために玉砕した鬼庭良直視点の物語が展開される等興味をそそる仕上がりになっております。
豊臣政権による『惣無事令(大名間の私闘禁止)違反』、『小田原参陣遅参』、『大崎一揆扇動』、『秀次謀反の関与の疑い』等数々の危険な綱渡りを繰り返してきた一方で、文禄の役において戦死した部下の家族や母である保春院に向けていたわりのこもった手紙を送る等政宗の大名としての手腕や精神面の成長、筆まめな一面が丁寧に描かれています。
また脇を固める片倉景綱、伊達成実に代表される優秀な家臣団や曾祖父稙宗と祖父晴宗の確執、父輝宗と保春院の逸話等もふんだんに盛り込まれている点も素晴らしい。
秀吉、家康が老獪な武将へと変化・熟成を遂げる同時期の若年政宗の無鉄砲さを魅力的に描かれた作品です。