大切なものを守ること。大好きな人に愛されること。
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「誰にも愛されてない」のは、子供にとってとてもつらい事。そんな少年ボッセは、ある日不思議な国へと旅立ち、自分が「王の息子ミオ」であると知り、父王の深い愛情を得ます。
リンドグレーンの作品には、悲しい子供がよく出てきますが、皆ファンタジーによって救われるので、現実逃避だという人もいます。でも、そんな悲しい境遇の子供を「それでも救いたい」という著者の愛情が感じられ、とても胸打たれるのです。
ボッセは現実世界でも、いつか愛を見つけられたかもしれません。だからこそ「王子ミオ」として戦う運命を背負わされているのでしょう。ミオは愛される喜びを知り、愛するものを守る勇気を学び、戦うのです。
手に汗握る冒険。ため息の出るような美しい王国の姿。どうしてリンドグレーンは子供にわかる易しい言葉で、こんなにも美しい物語を生み出せるのか…。不思議でなりません。