文学作品における読解指導の指標
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文学作品における読解指導がどうあるべきか。今までの文学作品における読解指導の反省や著者の経験等から、子どもたちに自力で作品に立ち向かう力が必要であるという主張は、首肯できる。エッセー風に書かれているが、紹介されている読解指導の実践は、大西忠治「科学的『読み』の授業研究会」や西郷竹彦「文芸研」、井関義久「分析批評」といった、今までの国語教育で培ってきた財産(観点)がもとになっており、読みやすい本であるにもかかわらず、深い理論的基盤に支えられていることに気付かされる。角度を変えて読むと、今までの文学作品における読解指導の基礎的理論を紐解く案内として読むこともできる。